このページは、 Tuesday, 15-Feb-2005 18:44:35 JSTに更新されました。
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異なる誘電率の誘電体の界面における電束と電界


 比誘電率εr1の媒質1と比誘電率εr2の媒質2が、右の図のように分布する場合の媒質1での電束密度と電界 と媒質2での電束密度と電界の関係を考える。注目したい境界において、媒質1と媒質2の境界が平面とみなせるほど (面上で、電界と電束密度が一定とみなせるほど)の小さな平面Sを境界に平行に両側に考える(面S1、S2)。 この面を上下面とする柱を考えてガウスの定理を利用し電束を計算する。

*d=∫*d(d;=S1)+∫*d(d;=S2) +∫*d(d;柱の側面)

ここで、柱の高さを限りなく低くすれば、側面の積分は’0’になる。平面S1、S2の面積をSとすれば、 ∫*dは、1方向へのの射影をS1で積分することをあらわすので、 電束密度の界面に垂直な成分と面積の積になる。媒質1の電束の垂直成分をD1t、媒質2の電束の垂直成分をD2tとすれば、

*d(d;=S1)=−D1t

同様に、

*d(d;=S2)=D2t

よって、∫*d=−D1tS+D2tSとなる。誘電体界面に真電荷(孤立した電荷)があれば、 その面電荷密度をσとすれば、閉曲面内の全真電荷量はσSであるから

*d=−D1tS+D2tS=σS

2t=σ+D1t

誘電体の境界では、境界に垂直方向の電束密度は、境界に真電荷が無ければ不変である。境界に真電荷があれば、真電荷の面密度だけ増加する。


境界を挟んだ両側に点A1,B1,A2,B2を考える。A,Bそれぞれの点は、境界をはさんで、限りなく接近しているとする。 この場合には、A1,B1間の電位差とA2,B2間の電位差は等しい。点A,Bは、その近傍で電界が一定とみなせるほどに短い(長さL)とする。 AからBに至る方向の電界成分をElとしてA,B間の電位差を式で表せば、

 −∫*d(d;A→B)=−ElLとなる。

媒質1と媒質2で電位差は等しいので、−E1lL=−E2l

よって、E1l=E2lとなる。

点A,点Bは誘電体の境界で、どのようにとっても良いので、誘電体の境界では境界面内の二つの媒質の電界成分が等しいことが分かる。


例えば、右図のように媒質1の側に電界と電束密度が与えられていれば、界面に真電荷が無ければ媒質2では、

 D2t=D1t、E2l=E1lとなる。

 比誘電率をεr1、εr2とすれば、

 D2l=ε0εr22l=ε0εr21l(=εr2r1*D1l

 E2t=1/ε0εr2*D2t=1/ε0εr2*D1t(=εr1r2*E1t

と表される。

 界面に真電荷が面電荷密度σで存在すれば、

 D2t=D1t+σ

 E2t=1/ε0εr2*D2t=1/ε0εr2*(D1t+σ)(=εr1r2*E1t+σ/ε0εr2

と表現される。その他の成分の表現は変わらない。


これでこの項目は終わり

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