このページは、 Saturday, 12-Apr-2008 18:24:51 JSTに更新されました。
このページは、’後藤 英雄@電気電子システム工学科 中部大学’が作成しています。
質問、連絡は、後藤@電気電子システム工学科へお願いします。

電荷が連続的に分布しているときの電界の計算例 線積分

 

電界の積分による表現において一般的な表式を示した。一般には、電界を求めることは難しいが、 特殊な場合には、求めることが出来る。ここでは、線積分で求める

太さを無視できる半径Rの円環上に均一に線電荷密度λ〔C/m〕で電荷が分布する場合、円環の中心軸上の中心からの距離H〔m〕の場所での電界を求める。


 円環の中心軸をz軸とし、円環を含むようにxy平面を考える。x軸からのなす角をφとすると円環上の総ての点(x,y)は、φによって(Rcosφ,Rsinφ)によって与えられる。 変数φによって電荷の分布は表現されるので、φ方向の微小量d φで切り取られる線分Rd φを点電荷(λRd φ)と見立ててφについて、0〜2πまで積分すれ(たせ)ば、電界が得られる。

 (x,y,z)で座標を表現することにして、φで与えられる位置にある微小電荷による電界d (φ)は、

 d (φ)=λRd φ (−Rcosφ,−Rsinφ,H)  ・・・(1)


4πε(R+H(R+H1/2

と表現される。

,E,Eは、それぞれの成分を積分すれば得られる。
2π2π
 E =d  =−λRcosφd φ   ・・・(2)

4πε(R+H3/2
φ=0φ=0


 E=0  〔N/C〕  ・・・・(2’)

cosφの一周期にわたる積分であるから式(2)の値は’0’になる。
同様にEも計算されて、sinφの一周期にわたる積分であるから’0’になる。
2π2π
 E =d  =−λRsinφd φ   ・・・(3)

4πε(R+H3/2
φ=0φ=0


 E=0  〔N/C〕  ・・・・(3’)

は、被積分関数が定数であるので、簡単に計算されて、
2π2π
 E =d  =λRHd φ   ・・・(4)

4πε(R+H3/2
φ=0φ=0

 E =λRH  〔N/C〕  ・・・(4’)

2ε(R+H3/2



 

 φで表されるxy平面上の点(Rcosφ,Rsinφ)において中心軸に対して反対方向の点(Rcos(φ+π),Rsin(φ+π))の電荷による電界を考えると、両者によって電界のxy成分は打ち消される。総ての円環上の点において、同様に打ち消されるので、電界のx成分,y成分は’0’となる。(このような考察を行なえば、始めから電界のx成分、y成分は’0’となることは自明であるから、z成分だけを計算すればよいことになる。)


 円環の中心軸上方に向かって正の方向をとる。電界は、円環の中心軸上では、軸に添って円環から外に向かう(電荷が負なら内に向かう)方向になる。電界を図示する。


これでこの項目は終わり

EL新入生電気磁気学Iのページ

電気磁気学IA要点のコーナーへ戻る

電気磁気学IAへ戻る

電気磁気学I要点のコーナーへ