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'98 1/14 レポート略解(解説)


T 厚さ T(m) の無限に広がる比誘電率εrの誘電体平面があり、この平面の外側に一様な電界を印加した。 この電界の平面に垂直な成分をE、平行な成分をEとして、以下の問いに答えよ。
@ 誘電体内部の電界を平面に垂直な成分と平行な成分に分けて求めよ。
A @を参考にして分極により誘電体表面に現れる電荷の面密度を求めよ。
B 誘電体内部の電束密度を平面に垂直な成分と平行な成分に分けて求めよ。
C 誘電体平面の片側に面密度σ(C/m2)の真電荷(孤立した電荷)をもう一方の側に面密度−σ(C/m2)の真電荷を与えた。 誘電体内部の電束密度を平面に垂直な成分と平行な成分に分けて求めよ。

解答例
@ 誘電体界面において、表面に孤立(真)電荷がなければ、界面に対して垂直方向成分では、誘電体内外で電束密度が不変である。一方界面に対して 平行な成分では、誘電体内外で電界が不変である。ゆえに、誘電体内部の電界の平面に垂直な成分をEr⊥、平行な成分をEr‖とすれば、
電束密度が不変より、ε0=ε0εrr⊥
                Er⊥=1/εr・E
電界が不変より、      Er‖=E

A 分極により誘起される表面電荷の面密度は、表面における分極密度Pに等しい。
P=Dr⊥−ε0r⊥であるから、
    P=ε0(εr−1)Er⊥
     =ε0(1−1/εr)E

B @で求めた電界を参考にして、
    D=ε0εrr⊥=ε0
    D=ε0εrr‖=ε0εr

C この表面電荷による電気力線は、平面に垂直な方向にのびるので電界及び電束密度は垂直成分だけが変化する。電界の垂直成分は、Bでの大きさに比べて σ/ε0εrだけ増加する。
  電束密度についても同様のことがいえて、電束密度の増加△D=σであるので、
    D'=σ+D=σ+ε0
    D'=D=ε0εr


  U 内半径R(m)、外半径R+T(m)の比誘電率εrの球殻の中心にQ(c)の点電荷がある。以下の問いに答えよ。
@ 任意の点における電界を求めよ。
A 任意の点における電束密度を求めよ。
B 無限遠を基準として任意の点における電位を求めよ。
C 誘電体内の任意の点における分極密度を求めよ。
D 誘電体球の内側表面と外側表面に誘起されている電荷の面電荷密度を求めよ。
E @〜Cを中心からの距離に対してグラフで表せ。

解答例
A 誘電体が球殻状で、点電荷が球殻の中心に存在するので、誘電体界面において電界は垂直になっている。 電束も誘電体界面において界面に対して垂直であるから、電束密度が誘電体境界で不変である。よって、電束密度をガウスの定理によって求めれば、
点電荷からの距離rにおける電束密度Dは
D=Q/4πr2(点電荷から外に向かう方向)

@ Aより、誘電体内部(R<r<R+T)で、
   E=Q/4πε0εr2
  上以外の場所(r<R、R+T<r)で、
   E=Q/4πε02

B 点電荷からの距離rにおける電位φ(r)は、
 φ(r)=−∫E(rE)drE(rE;∞〜r)(R+T<r)
 φ(r)=−∫E(rE)drE(rE;R+T〜r)+φ(R+T)(R<r<R+T)
 φ(r)=−∫E(rE)drE(rE;R〜r)+φ(R)(r<R)

R+T<rのとき、
 φ(r)=−∫E(rE)drE(rE;∞〜r)=Q/4πε0
R<r<R+Tのとき、
 φ(r)=−∫E(rE)drE(rE;R+T〜r)+φ(R+T) =Q/4πε0εrr−Q/4πε0εr(R+T)+Q/4πε0(R+T)
 =Q/4πε0・(1/εrr+(1−1/εr)/(R+T))
r<Rのとき、
 φ(r)=−∫E(rE)drE(rE;R〜r)+φ(R) =Q/4πε0r−Q/4πε0R+Q/4πε0εrR−Q/4πε0εr(R+T)+Q/4πε0(R+T)
 =Q/4πε0・(1/r−(1−1/εr)/R+(1−1/εr)/(R+T))

C 分極密度Pは、D−ε0E(=ε0(εr−1)E=(1−1/εr)D)で与えられるので、
D=Q/4πr2(点電荷から外に向かう方向)を参考にして、
  誘電体内部(R<r<R+T)で、
   P=Q/4πr2・(1−1/εr
  上以外の場所(r<R、R+T<r)で、
   P=0 (εr=1より)

D 分極により誘起される面電荷密度は、分極密度の差に等しいので、Cを参考にして
内側表面においては、
 σi=−Q/4πR2・(1−1/εr
外側表面においては、
 σo=Q/4π(R+T)2・(1−1/εr

E下に示す。


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