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'01 06/18(25) レポート 略解(解説)

I 点1(位置ベクトル)に〔C〕、 点2(位置ベクトル)に〔C〕の点電荷がある。以下の問いに答えよ。

@ 点(=(x,y,z))の電界を表せ。
A =(4,0,0)〔m〕、=(0,4,0)〔m〕、 =Q1×10−8〔C〕とする。
 次の各点における電界を求めよ。(単位は〔m〕) (0,0,0)、(±1,0,0)、(0,±1,0)、(±2,0,0)、(0,±2,0)、 (±1,±1,0)、(±2,±2,0)、(±3,0,0)、(0,±3,0)、(±3,±3,0)、 (±2,±1,0)、(±1,±2,0)
B Aで得た電界を図示せよ。
C Aで電気力線を描け。
D =(4,0,0)〔m〕、=(0,4,0)〔m〕、 =−Q1×10−8〔C〕のとき、電気力線を描け。

解答例
@ 点電荷1,2の作る電界を足せばよい。

4πε0


4πε0

 〔N/C〕


A @を参考にする。1/4πε0=9×10〔F/m〕であることを考慮して、

4πε0
(x−4,y,z)
((x−4)+y+z3/2

4πε0
(x,y−4,z)
(x+(y−4)+z3/2
 〔N/C〕


  = 90 (x−4,y,z)
((x−4)+y+z3/2
+ 90 (x,y−4,z)
(x+(y−4)+z3/2
 〔N/C〕


 与えられた点に対する電界は成分で次の表のようになる。(ただし、電界の単位は〔N/C〕で、z軸成分はすべての点で’0’であるから表では省略した。値を求める手続きは上の式に座標を代入するだけの単純な繰り返し計算であるので、表計算ソフトなどを利用すると簡単に値は求まる。
点(x,y,z)x成分 y成分点(x,y,z)x成分 y成分
(1,0,0)−8.7 −5.1(−1,0,0)−4.9 −5.1
(0,1,0)−5.1 −8.7(0,−1,0)−5.1 −4.9
(1,1,0)−5.7 −5.7(1,−1,0)−7.9 −6.2
(−1,1,0)−6.2 −7.9(−1,−1,0)−4.1 −4.1
(2,0,0)−20.5 −4.0(−2,0,0)−4.5 −4.0
(0,2,0)−4.0 −20.5(0,−2,0)−4.0 −4.5
(2,2,0)(2,−2,0)−7.2 −10.1
(−2,2,0)−10.1 −7.2(−2,−2,0)−2.8 −2.8
(3,0,0)−87.8−2.9(−3,0,0)−4.0 −2.9
(0,3,0)2.9 −87.8(0,−3,0)−2.9 −4.0
(3,3,0)5.75.7(3,−3,0)−2.2 −10.0
(−3,3,0)−10.0 −2.2(−3,−3,0)−2.0 −2.0
(2,1,0)−12.3 2.3(2,−1,0)−14.9 −10.9
(−2,1,0)−6.2 −5.4(−2,−1,0)−3.6 −3.3
(1,2,0)2.3 −12.2(1,−2,0)−5.4 −6.2
(−1,2,0)−10.9 −14.9(−1,−2,0)−3.3 −3.6
(0,0,0)−5.6 −5.6

B 上の表の電界を右図(オレンジ色)に示す。

C 電気力線も右図(青色)に示す。電界が接線になるようになめらかに線を引く。ただし、方向は正電荷では出て、負電荷では入っていく方向。

D A,Cと同様に電界を求めてつないで電気力線を表す。Aと同じ点で、電界を求めれば下の表のようになるので、なめらかにつないで電気力線を表す。
点(x,y,z)x成分 y成分点(x,y,z)x成分 y成分
(1,0,0)−11.3 5.1(−1,0,0)−2.3 5.1
(0,1,0)−5.1 11.3(0,−1,0)−5.1 2.3
(1,1,0)−11.4 11.4(1,−1,0)−9.2 0.5
(−1,1,0)−0.5 9.2(−1,−1,0)−2.7 2.7
(2,0,0)−24.5 4.0(−2,0,0)−0.5 4.0
(0,2,0)−4.0 24.5(0,−2,0)−4.0 0.5
(2,2,0)−15.915.9(2,−2,0)−8.7−5.8
(−2,2,0)5.8 8.7(−2,−2,0)−1.4 1.4
(3,0,0)−92.22.9(−3,0,0)0.3 2.9
(0,3,0)−2.9 92.2(0,−3,0)−2.9 −0.3
(3,3,0)−11.411.4(3,−3,0)−3.5 −7.1
(−3,3,0)7.1 3.5(−3,−3,0)−0.8 0.8
(2,1,0)−19.9 13.8(2,−1,0)−17.3 −5.2
(−2,1,0)−1.4 6.2(−2,−1,0)−1.2 2.5
(1,2,0)−13.8 19.9(1,−2,0)−6.2 −1.4
(−1,2,0)5.2 17.3(−1,−2,0)−2.5 1.2
(0,0,0)−5.6 5.6


II 半径a〔m〕の無限長の円柱状に均一に密度ρ〔C/mで電荷が分布している。以下の問いに答えよ。

@ 任意の点において、電界はどちらを向いているか。
A 座標を適当に設定して、任意の点における電界を求めよ。
B Aで求めた電界に対して、ガウスの定理の微分形が成り立つことを確認せよ。

解答例


@ 電界を知りたい点をとし、点より、円柱の中心軸に下ろした垂線の足をとする。 を通り、円柱の中心軸に垂直な面Gで、円柱を二つに分ける。
 点電荷と見なせるほど微小な領域に円柱を分けて、その内の一つの微小領域pが点に及ぼす電界を考える。 領域pの面Gに対する対称な領域p’にも同量の電荷が存在し、その電荷が点に及ぼす電界は、pの作る電界と大きさが等しく面Gに対して対称である。 よって、この二つの電界を合成すると面Gに垂直な成分はうち消して、面G内の成分だけになる。円柱上の全電荷に対して、このような電荷の組が与えられるので、 電界は、面G内の成分のみで与えられる。 BR> つぎに、円柱の中心軸と点を含む面Hを考え、円柱に分布する電荷を面Hで二つの領域に分ける。 点電荷と見なせるほど微小な領域に円柱を分けて、その内の一つの微小領域pが点に及ぼす電界を考える。 領域pの面Hに対する対称な領域p"にも同量の電荷が存在し、その電荷が点に及ぼす電界は、pの作る電界と大きさが等しく面Hに対して対称である。 よって、この二つの電界を合成すると面Hに垂直な成分はうち消して、面H内の成分だけになる。円柱上の全電荷に対して、このような電荷の組が与えられるので、 電界は、面H内の成分のみで与えられる。
ゆえに、点において、面Gと面Hに含まれる方向(円柱の中心軸に対して、垂直な方向)に電界は向く。


A 円柱の中心軸から電界を知りたい点までの距離をrとする。半径r、高さLの円柱状の閉曲面を考えて、ガウスの定理を適用する。

閉曲面上での電界をとすれば、

ガウスの定理の左辺=∫d (S:円柱側面+円柱上面+円柱下面) =∫d (S:円柱側面)+∫d (S:円柱上面+円柱下面)

d (S:円柱側面)=E∫d S(S:円柱側面) (d は同じ方向で、Eは面上で同じ値)=E2πrL(側面上の電界をEとおいた。)

d (S:円柱上面+円柱下面)=0(面上でd は垂直なので内積は0)

ガウスの定理の左辺 : E2πrL

ガウスの定理の右辺 :


ε
∫ρd V =  ρπr

ε
 (r<a)、、   ρπa

ε
 (r>a)

a<r : E= ρr

2ε
 〔N/C〕
a>r : E= ρa

2ε
 〔N/C〕

 円柱の中心をz軸とし、電界を知りたい点の座標を(x,y,z)とおけば、r=(x+y1/2,電界の方向は、(x,y,0)の方向であるから
a<r : = ρ

2ε
(x,y,0) 〔N/C〕
a>r : = ρa

2ε
(x,y,0)

+y
 〔N/C〕

B
a<r : div = 2ρ

2ε
 = ρ

ε
 〔V/m
a>r : div = ρa

2ε
 (

+y
 − 2x+2y

(x+y
 ) =0 〔V/m


III 厚さt〔m〕の無限に広い板1,2が空隙d〔m〕で平行にある。 ただし、板1には均一に密度ρ1〔C/mの電荷が、 板2には均一に密度ρ2〔C/mの電荷がある。 また、板2から板1に向かって垂直にz軸を設定し、z軸の原点は板2の中心にあるとする。ほかに必要な座標および座標軸は適当に設定して、以下の問いに答えよ。

@ 板1に分布する電荷による任意の点における電界の大きさと方向を求めよ。
A 板2に分布する電荷による任意の点における電界を求めよ。
B 板1,板2の両方に分布する電荷による任意の点における電界を求めよ。
C Bにおいて、ガウスの法則の微分形が成り立つことを確認せよ。
D Bにおいて、t=1〔mm〕、d=1〔mm〕、ρ=ρ=1×10−8〔C/mのとき、 z座標の関数として電界のz軸成分をグラフ化せよ。電気力線も描け。
E Bにおいて、t=1〔mm〕、d=1〔mm〕、ρ=−ρ=1×10−8〔C/mのとき、 z座標の関数として電界のz軸成分をグラフ化せよ。電気力線も描け。

解答例

@ 板の厚さの中心面を基準にして、両側に等距離の点を考えると、電荷の見え方が同じであるから両地点で電界の大きさは同じである。また、電界の方向は、板に垂直(z軸に並行)である。平板の中心面から両側に等距離H〔m〕の面積S〔m〕の上下面を持つ直方体状の閉曲面で、ガウスの定理を適用する。
 電界の方向を考慮して、∫d =2SE
 ∫ρd V=ρS×2H  (H<t/2)、
      =ρS×t  (H>t/2)、

 故に電界の大きさEは、平板から外に向かう方向を正として、
H<

 : E = ρ

ε
 〔N/C〕

H>

 : E = ρ

2ε
 〔N/C〕

 板1の厚さの中心面のは、z=t+d で与えられるので、z座標を用いて表せば、H=|z−(t+d)|である。 電界がz軸に平行であることを考慮して、z軸の正の方向を電界の正の方向とすれば、

|z−(t+d)|<

 : E = ρ(z−(t+d))
ε
 〔N/C〕

|z−(t+d)|>

 : E = ρ

2ε
(z−(t+d))
|z−(t+d)|
 〔N/C〕

A @と同様にして電界を求める。板の厚さの中心面を基準にして、両側に等距離の点を考えると、電荷の見え方が同じであるから両地点で電界の大きさは同じである。また、電界の方向は、板に垂直(z軸に並行)である。平板の中心面から両側に等距離H〔m〕の面積S〔m〕の上下面を持つ直方体状の閉曲面で、ガウスの定理を適用する。
 電界の方向を考慮して、∫d =2SE
 ∫ρd V=ρS×2H  (H<t/2)、
      =ρS×t  (H>t/2)、

 故に電界の大きさEは、平板から外に向かう方向を正として、
H<

 : E = ρ

ε
 〔N/C〕

H>

 : E = ρ

2ε
 〔N/C〕

 板1の厚さの中心面のは、z=0 で与えられるので、z座標を用いて表せば、H=|z|である。 電界がz軸に平行であることを考慮して、z軸の正の方向を電界の正の方向とすれば、
|z|<

 : E = ρ

ε
 〔N/C〕

|z|>

 : E = ρ

2ε

|z|
 〔N/C〕

B @とAの結果をまとめて、
z>d+
t : E = ρ
2ε
ρ

2ε
 〔N/C〕


+d>z>d+
 : E = ρ(z−(t+d))
ε
ρ
2ε
 〔N/C〕


<z<d+
 : E = −ρ
2ε
ρ

2ε
 〔N/C〕


<z<
 : E = −ρ
2ε
ρ
ε
 〔N/C〕

z<−
 : E = −ρ
2ε
ρ
2ε
 〔N/C〕

C 電界は、z成分しかないので、z座標について微分する。それぞれの領域で、zについて微分すれば、変数zの係数を求めることになる。よって、
z>d+
t : div = 0 〔V/m


+d>z>d+
 : divρ
ε
 〔V/m


<z<d+
 : div = 0 〔V/m


<z<
 : divρ
ε
 〔V/m

z<−
 : div = 0 〔V/m

D
ρ
ε
= ρ
ε
= 1.1×10

であることを考慮して、グラフを描く。 グラフの例はこちら

E Dと同様にして
ρ
ε
= −ρ
ε
= 1.1×10

であることを考慮して、グラフを描く。 グラフの例はこちら


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