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4回目 レポートの解説


I 真空中に充分長い半径R〔m〕の円柱導体1と内半径R〔m〕で筒の肉厚t〔m〕の円筒導体2が同軸状に配置されている。 以下の問いに答えよ。(R<Rとする。)必要な座標は各自で設定せよ。

 @ 円筒導体2の外側表面を接地して、円柱導体1に単位長さ当たりλ〔C/m〕の電荷を与えた。 円筒導体2に分布する電荷を求めよ。

円筒導体2について−−−
導体では、電荷は表面に分布し、導体内部には電界は存在しない。円筒導体の内側表面のごく内側での電界が、λ/2πεであることを考慮して、円筒導体の内側表面を挟んでガウスの定理を用いれば、円筒導体の内側表面には、−λ/2πR〔C/m2〕の電荷が分布することが導かれる。円筒導体の外側表面は、接地されており、電位は'0'である。無限の遠方でも電位は'0'であるから、円筒導体の外側表面には電荷は分布しない。

 A @において、円柱導体1の中心軸からの距離r〔m〕における電界の大きさを求めよ。

同軸の中心を中心として、半径r、高さHの円柱閉曲面でガウスの定理を使えば、
r<R、R<rのとき  E=0 〔V/m〕
<r<R のとき  E=λ

2πε
〔V/m〕 (電界は外向きを正とした)

 B @において、円柱導体1の中心軸からの距離R〔m〕における電位を求めよ。

電位φ=

r=R
−Ed

   =0 〔V〕 (R2<R)
   =λ

2πε
log

 〔V〕 (R<R<R
   =λ

2πε
log

 〔V〕 (R<R

C Bにおいて、円柱導体1と円筒導体2の間の単位長さ当たりの静電容量を求めよ。

電位差φλ
2πε
log(R/R)であるから単位長さあたりの静電容量Cは、
 Cλ
φ
2πε
log(R/R
〔F/m〕

 D R=2.2〔mm〕、R=6〔mm〕、t=0.1〔mm〕とする。 単位長さ当たりの静電容量はいくらか。 ( ただし、loge(3/1.1)=1、ε=8.854×10−12〔F/m〕として計算してもよい。)

Cを参考にして、
 C=2πεlog(R/R) =2π×8.854×10−12=5.6×10−11 〔F/m〕
  =56〔pF/m〕

 

II 真空中に距離d〔m〕を隔てて面積S〔m〕の導体板1,2が平行にある。以下の問に答えよ。(面間隔に比べて面は十分に広いとする。)

@ 導体板1を接地して、導体板2に電圧V〔V〕を印加した。導体板間の電界を求めよ。

平行平板では電界は一様であるから、電界の大きさをEとすれば、V=Edである。
 E=
〔V/m〕 (導体板2から1に向かう方向)

B @で、導体板2に蓄えられる電荷を求めよ。

導体板でガウスの定理を使えば、面電荷密度は、εEで与えられるので、導体板2に蓄えられる電荷量Qは、
 Q=εESεVS
〔C〕

A 静電容量を求めよ。

静電容量Cは、次のようになる。
 C=
ε
〔F〕

C @で、電気力線を描け。

III 点A(x,y,z〔m〕〔C〕、 点B(x,y,z〔m〕〔C〕の点電荷がある。以下の問いに答えよ。

@ 点R(x,y,z〔m〕における電界と電位を式で表せ。

 要点のコーナーで指摘したように、複数の点電荷による電界は、個々の点電荷による電界のベクトルの合成で与えられる。 点Aの位置ベクトルを,点Bの位置ベクトルを,点Rの位置ベクトルをとおけば、

 )=


 〔V/m〕
4πε4πε

ベクトルに対応する座標を代入すれば、成分での表現になる。成分はそれぞれ、
  =(x−x,y−y,z−z
  =(x−x,y−y,z−z

点電荷の作る電位φは、それぞれの点電荷の作る電位を加えればよいので、
 φ()=


 〔V〕
4πε4πε

A Q=1〔C〕、Q=0〔C〕、点Aが原点にある。点Rが次の各点で与えられるとき、それぞれの点での電位を求めよ。
  (1,0,0)、(0,1,0)、(2,0,0)、(1,1,0)、(0,2,0)〔m〕
B Aで、2×10−9〔C〕の電荷を無限遠から点Rに移動させた。それぞれの点Rについて電荷の得たエネルギーを求めよ。
C Aで、−1×10−9〔C〕の電荷を無限遠から点Rに移動させた。それぞれの点Rについて電荷の得たエネルギーを求めよ。

点電荷による電位は、距離に反比例する。エネルギーは、電位と電荷の積である。1Cの電荷が原点にあり、エネルギーは移動させた電荷と電位差との積であるから、
電位 2×10−9〔C〕の
 電荷の得たエネルギー
 −1×10−9〔C〕の
 電荷の得たエネルギー
(1,0,0)9×10〔V〕18〔J〕−9〔J〕
(0,1,0)9×10〔V〕18〔J〕−9〔J〕
(2,0,0)4.5×10〔V〕9〔J〕−4.5〔J〕
(1,1,0)6.4×10〔V〕12.7〔J〕−6.4〔J〕
(0,2,0)4.5×10〔V〕9〔J〕−4.5〔J〕

D Q=1〔C〕、Q=−1〔C〕、点A(1,0,0)〔m〕、点B(−1,0,0)〔m〕とする。 点Rが次の各点で与えられるとき、それぞれの点での電位を求めよ。
   (0,1,0)、(2,0,0)、(1,1,0)、(0,2,0)〔m〕
E Dで、2×10−9〔C〕の電荷を無限遠から点Rに移動させた。それぞれの点Rについて電荷の得たエネルギーを求めよ。
F Dで、−1×10−9〔C〕の電荷を無限遠から点Rに移動させた。それぞれの点Rについて電荷の得たエネルギーを求めよ。

点R 点Aの電荷による電位〔V〕 点Bの電荷による電位〔V〕 点Rにおける電位〔V〕 Eで与えた2×10−9〔C〕の電荷の得たエネルギー〔J〕 Fで与えた、−1×10−9〔C〕の電荷の得たエネルギー〔J〕
(0,1,0)6.4x10−6.4x10
(2,0,0)9x10−3x106x1012−6
(1,1,0)9x10−4x105x1010−5
(0,2,0)4x10−4x10

IV(3,0,0)〔m〕に−2〔C〕、(−3,0,0)〔m〕に2〔C〕の点電荷がある。次の各点における電位を求めよ。
  (0,0,0),(0,±1,0),(±1,0,0),(0,±2,0),(±2,0,0),(±1,±1,0),(±2,±2,0)〔m〕

(3,0,0)〔m〕にある−2〔C〕の電荷による電位(−3,0,0)〔m〕にある2〔C〕の電荷による電位全電荷による電位
(0,0,0)−6×10〔V〕6×10〔V〕0〔V〕
(0,±1,0)−5.7×10〔V〕5.7×10〔V〕0〔V〕
(0,±2,0)−5.0×10〔V〕5.0×10〔V〕0〔V〕
(1,0,0)−9.0×10〔V〕4.5×10〔V〕−4.5×10〔V〕
(−1,0,0)−4.5×10〔V〕9.0×10〔V〕4.5×10〔V〕
(2,0,0)−18×10〔V〕3.6×10〔V〕−14.4×10〔V〕
(−2,0,0)−3.6×10〔V〕18×10〔V〕14.4×10〔V〕
(1,±1,0)−8×10〔V〕4.4×10〔V〕−3.6×10〔V〕
(−1,±1,0)−4.4×10〔V〕8×10〔V〕3.6×10〔V〕
(2,±2,0)−8×10〔V〕3.34×10〔V〕−4.7×10〔V〕
(−2,±2,0)−3.34×10〔V〕8×10〔V〕4.7×10〔V〕

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