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'00 5/24 レポート 略解(解答例)
I H(=(0,0,H))〔A/m〕なる一様な磁界中に、磁気モーメントPm(=(Pm,0,0))〔Wbm〕で
長さL〔m〕の太さを無視できる棒磁石がある。以下の問いに答えよ。
1.棒磁石のN極およびS極に誘起している磁荷を求めよ。
2.棒磁石のN極およびS極に働く力を求めよ。
3.棒磁石に働くトルクを求めよ。
4.棒磁石をPm(=0,0,Pm)〔Wbm〕まで回転させた。棒磁石のエネルギーの増加分を求めよ。
5.H=100〔A/m〕,Pm=0.01〔Wbm〕,L=4〔cm〕のとき、磁石に働く力とトルクを求めよ。
解答例
1.誘起している磁荷をM〔Wb〕とすれば、Pm=MLであるから磁荷Mは Pm/L〔Wb〕となる。
ただし、磁荷が正の側がN極であるから、N極:|Pm|/L〔Wb〕、S極:−|Pm|/L〔Wb〕とかける。
2.磁荷に働く力Fは、F=MHであるから、
N極では、F=|Pm|/L*H〔N〕、S極では、F=−|Pm|/L*H〔N〕なる力が働く。
力Fを成分で表せば、N極:(0,0,|Pm|/L*H)〔N〕、
S極:(0,0,−|Pm|/L*H)〔N〕
3.2で求めた力は、Y軸を回転軸とした回転運動を起こそうとする。磁石の中心が回転中心であるとすれば、
トルクは回転中心から力の作用する点までの距離と回転方向の力の積で与えられる。
N極、S極ともに同方向の回転を引き起こす大きさの同じ力が働いている。この回転力は、Hの方向とPmの
方向を(鋭角で回転して)そろえるように作用する。PmH>0の時は、Y軸を回転軸として(ZX平面に投影したとき)左回転、
PmH<0の時は、Y軸を回転軸として、(ZX平面に投影したとき)右回転を引き起こす。
トルクの大きさは、両極の寄与を足して、T=|FL|/2*2=|PmH|〔Nm〕となる。
よって、トルクTを成分で表せば、(0,−PmH,0)〔Nm〕で与えられる。
(トルクは、回転の方向に右ねじを回したとき進む方向を向く。)
4.2を参考にして考える。棒磁石の両端に現れたPm/L〔Wb〕の磁荷にPm/LH〔N〕なる力が、−Pm/L〔Wb〕の磁荷に−Pm/LH〔N〕の力がそれぞれ働いている。それぞれの磁荷は、磁界の方向(Z軸の正の方向)に対して、L/2、−L/2〔m〕移動する。よって、全体の獲得エネルギーΔWは、
ΔW=−Pm/L*H*L/2−(−Pm/L)*H*(−L/2)
=−PmH〔J〕
5.磁化の大きさM=Pm/L=0.25〔Wb〕である。
力の大きさ:2を参考にして、MH=25〔N〕となる。力の方向は、N極が磁界の方向、S極が磁界と逆の方向。
トルクの大きさ:3を参考にして、|PmH|=1〔Nm〕。
PmH>0の時は、Y軸の負の方向、PmH<0の時は、Y軸の正の方向に向く。
別解
3.トルクTは、PmとHの外積により T=Pm×Hで与えられるので、成分の計算をすれば、ベクトル量として直接求まる。
T=−PmHey=(0,−PmH,0)〔Nm〕
PmH>0(<0)ならば、ZX平面に投影したときに左回転(右回転)を起こそうとする回転力である。
4.トルクと回転量をかければ、エネルギーが求まる。ZX平面で、X軸からZ軸に向かって回転させたときのエネルギーを考えればよい。
ZX平面で、Z軸を基準として、X軸に向かって角度θを考える。回転方向成分の力がトルクに寄与するので、
T=−PmHsinθで与えられてエネルギーの増加分ΔWは、
ΔW=∫−Tdθ(θ;π/2〜0)=∫PmHsinθdθ(θ;π/2〜0)
=[−PmHcosθ](θ;π/2〜0)
=−PmH〔J〕
となる。
II H(=(0,0,H))〔A/m〕なる一様な磁界中に、磁気モーメントPm
(=(Pmsinθ,0,Pmcosθ))〔Wbm〕なる棒磁石がある。棒磁石に働くトルクを求めよ。
解答例
ベクトル量としてそのまま計算すれば、
T=Pm×H=−PmsinθHey〔Nm〕
=(0,−PmHsinθ,0)〔Nm〕
別解
PmとHのなす角がθであるからトルクの大きさはPmHsinθ〔Nm〕となる。
また、PmとHを含む面に垂直な方向はY軸に垂直で、Pm
からHへと回転して右ねじが進む方向はY軸の負の方向なので、トルクを成分で表せば、
(0,−PmHsinθ,0)〔Nm〕
III y軸に沿って正の方向に、Ι〔A〕の電流が流れている。以下の問いに答えよ。
1.点r(=(x,y,z))〔m〕における磁界を求めよ。
2.点rに磁気モーメントPm(=(Pmsinθ,Pmcosθ,0))〔Wbm〕
の磁石をおいた。磁石に働くトルクを求めよ。
3.Ι=100〔A〕,Pm=0.01〔Wbm〕のとき、磁石に働くトルクの大きさと方向を求めよ。
解答例
1 y軸の正の方向に向かって、電流Ιが流れているので、磁力線は、y軸に対して同心円状で、右回りにある。
磁界の大きさHは周回積分の法則より、
∫Hdl=Ι → 2π(x2+z2)1/2H=Ι
H=Ι/2π(x2+z2)1/2
磁界は磁力線の接線方向を向くので、Hの方向の単位ベクトルは、(z/(x2+z2)1/2,0,−x/(x2+z2)1/2)
H=Ι/2π(x2+z2)1/2(z/(x2+z2)1/2,0,−x/(x2+z2)1/2)
=(Ιz/2π(x2+z2),0,−Ιx/2π(x2+z2))〔A/m〕
2 IIを参考にすれば、T=Pm×H であるから、外積を直接計算して、
T=(Pmcosθ(−Ιx/2π(x2+z2))ex
−(Pmsinθ(−Ιx/2π(x2+z2))ey
−(Pmcosθ(Ιz/2π(x2+z2)))ez
=−ΙxPmcosθ/2π(x2+z2))ex
+ΙxPmsinθ/2π(x2+z2))ey
−ΙzPmcosθ/2π(x2+z2)))ez 〔Nm〕
3 2を参考に値を入れれば、
T=−xcosθ/2π(x2+z2)ex
+xsinθ/2π(x2+z2)ey
−zcosθ/2π(x2+z2)ez 〔Nm〕
トルクの大きさは、(x2+z2cos2θ)1/2/2π(x2+z2) 〔Nm〕
方向は、(単位ベクトルで表せば、)
−xcosθ/(x2+z2cos2θ)1/2ex
+xsinθ/(x2+z2cos2θ)1/2ey
−zcosθ/(x2+z2cos2θ)1/2ez
これでこの項目は終わり
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