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'00 7/5 レポート略解(解答例)

I (=(0,0,B))〔Wb/mなる一様な磁場中で 電荷q〔c〕、質量m〔Kg〕の荷電粒子が、速度 υ(t)(=(υ(t),υ(t),υ(t)))〔m/s〕で 運動している。荷電粒子は、t=0で、原点にあり、 υ(0)=(υ,0,υ〔m/s〕である。 以下の問いに答えよ。
  1.荷電粒子に働く力を求めよ。
  2.荷電粒子はどの様な運動をするか?
  3.荷電粒子の運動をxy平面に投影すると円運動している。円運動の半径と周期を求めよ。
  4.B=0.1〔Wb/m〕、q=−1.6×10−19〔C〕、m=9.1×10−31〔Kg〕 、υ=100〔m/s〕、υ=100〔m/s〕とする。 3.において、円運動の半径と周期を求めよ。

解答例

1.  力 =qυ× であるから、計算すれば、
   =qBυ(t)−qBυ(t)〔N〕

2.3. z軸方向には力を受けていないので、等速運動をする。x軸、y軸方向には、力を受けているので、加速度運動をする。 加速度は速度によりそれぞれ、∂υ/∂t、∂υ/∂tで与えられるので、
  m∂υ/∂t=qBυm∂υ/∂t=−qBυ
  ω=qB/m とおけば、
  ∂υ/∂t=ωυ∂υ/∂t=−ωυ
 よって、υ/∂t=−ωυυ=1/ω*∂υ/∂t
 初期条件に合わせて、解けば、υ=υx0cos(ωt),υ=−υx0sin(ωt)
 υ=(υx0cos(ωt),−υx0sin(ωt),υz0〔m/s〕
 tに関して積分して、初期条件を考慮して、
  (t)=(υx0/ω*sin(ωt),υx0/ω*(cos(ωt)−1),υz0t)〔m〕
 xy平面上では、中心(0,−υx0/ω)〔m〕,半径υx0/ω〔m〕,角速度ω〔rad/s〕で、時計回りに回転する。z軸方向へは、一定の速度υz0〔m/s〕で進む。よって、z軸方向に向かって、螺旋運動をする。周期Tは、T=2π/ω=2πm/qB〔s〕 もし、T<0(電荷が負))になったら、電荷は反時計方向に回転する。 (回転運動の半径:υx0/ω=mυx0/qB)

4. 値を代入して角速度は、1.76×1010〔rad/s〕であるから、円運動の半径は、5.7×10−9〔m〕=5.7〔nm〕、周期は、3.56×10−10〔s〕≒0.36〔ns〕

II (=(B,0,0))〔Wb/mなる一様な磁場中に図のような長方形状の1〔回巻〕のコイルがおかれている。コイルは、長辺がa〔m〕、短辺がb〔m〕で、2つの長辺の中心を結ぶ線を軸にして回転できる。磁場の方向からコイル面の垂線へ至る角度をθ〔rad〕とする。 図の手前から見て反時計方向に測った回転方向を正とする。以下の問いに答えよ。
  1.コイルに電源をつないで、図のようにΙ〔A〕の電流を流した。コイルに働く力とトルクを求めよ。
  2.コイルを角速度ω〔rad/s〕で回転させた。コイルに発生する電圧を求めよ。
  3.2で、コイルにR〔Ω〕の抵抗をつないだ。コイルに流れる電流を求めよ。
  4.3の電流によりコイルに働くトルクを求めよ
  5.3で抵抗で消費される電力を求めよ。
  6.コイルがN回巻きの時には、1.〜5.の量はどの様になるか。
  7.N=1000〔回巻〕、a=0.2〔m〕、b=0.1〔m〕、B=0.5〔Wb/m〕、ω=400〔rad/s〕、R=10〔Ω〕のとき、コイルに発生する電圧と、抵抗で消費する電力を求めよ。

解答例

1. 長さb〔m〕のコイルの電流と磁場は直交している。長さb〔m〕のコイルには、磁場と垂直な面内(水平方向)にコイルに対して外向きに、ΙBb〔N〕の力が働く。二本のb〔m〕の長さのコイルには、逆方向に力が働く。これらの力は、コイルを広げよう(縮めよう)とする力(コイル面内の方向成分)と、コイルを回転させようとする力(コイル面に垂直な成分)に分解される。コイルを広げよう(電流が磁場に対して反時計回りであれば、縮めよう)とする力は、ΙBb*cosθ〔N〕、コイルを回転させようとする力はΙBb*sinθ〔N〕で表される。コイルを回転させようとする力は、二本のコイルで、同じ方向に働くので、合成してトルクで表せば、2*a/2*ΙBb*sinθ=abΙBsinθ〔Nm〕で、時計方向に回転させようと働く。長さa〔m〕のコイルは、電流と磁場がπ/2−θの角度をなしているので、aΙBsin(π/2−θ)(=aΙBcosθ)〔N〕の力が、コイル面内で、コイルを広げる(電流が磁場に対して反時計回りであれば、縮める)方向に働く。

2. 長さb〔m〕のコイルの右の辺は、周速度ωa/2〔m/s〕で、磁場中を運動している。磁場と垂直な成分(ωa/2*sinθ)に対して、ローレンツ力が働く。コイル内のq〔c〕電荷には、qBωa/2*sinθ〔N〕なる力が働き、電荷は移動する。電荷の移動は、移動した電荷が作る電界がローレンツ力とバランスするまで起こる。すなわち、コイルにはBωab/2*sinθ〔V/m〕なる電界が発生する。ゆえに、長さb〔m〕のコイルに発生する電圧は、Bωab/2*sinθ〔V〕で、手前から向こうに向かって高い電圧になる。もう一方の辺についても同様にして、向こうから手前に向かってBωab/2*sinθ〔V〕の電圧が発生する。よって、コイルの両端には、Bωab*sinθ〔V〕なる電圧が発生する。

3. 電圧が、Bωab*sinθ〔V〕であるから、電流は、Bωab/R*sinθ〔A〕である。

4. 1.を参考にして、トルクは、ω/R*(Bab*sinθ)〔Nm〕

5. 3.を参考にして、ω/R*(Bab*sinθ)〔W〕

6. 1.のトルク:一回巻き当たり、abΙBsinθ〔Nm〕であるから、abΙBNsinθ〔Nm〕
     2.の電圧 :一回巻き当たり、Bωab*sinθ〔V〕であるから、BωabNsinθ〔V〕
     3.の電流 :電圧がN倍であるから電流もN倍、BωabN/R*sinθ〔A〕
     4.のトルク:一回巻き当たり、電流がN倍になっているので、N倍のトルクになる。N回巻きであるから、さらにN倍されて、 ω/R*(BabNsinθ)〔Nm〕
     5.の電力 :電圧、電流ともにN倍になるので、N倍になるので、ω/R*(BabNsinθ)〔W〕

7. コイルに発生する電圧:4000sinθ〔V〕、電力:1500〔kW〕

III 右のような比透磁率μの磁性体からなる磁気回路に、〔回巻〕のコイル1と〔回巻〕のコイル2がある。以下の問いに答えよ。
  1.コイル1の端子a→端子bに向かって、Ι〔A〕の電流を流した。鉄心内の磁束を求めよ。
  2.1でコイル1のΙ〔A〕の電流に加えて、コイル2の端子c→端子dに向かって、Ι〔A〕の電流を流した。鉄心内の磁束を求めよ。
  3.2において、磁気回路に蓄えられたエネルギーを求めよ。
  4.1において、コイル1のΙ〔A〕の電流が、凾舶b間に刄ァ〔A〕増加した。磁束の単位時間当たりの変化率を求めよ。
  5.コイル1とコイル2に誘起される電圧を求めよ。
  6.コイル1とコイル2の自己インダクタンスと相互インダクタンスを求めよ。
  7.μ=500、L=0.1〔m〕、T=0.2〔m〕、S=1〔cm〕、=1000〔回巻〕、=2000〔回巻〕のとき、6.の自己インダクタンスと相互インダクタンスはいくらか。

解答例

1. 磁気抵抗〔AT/Wb〕は、磁路の長さが、2(T+L)であるから、=2(T+L)/Sμμとなる。よって、鉄心内の磁束Φ〔Wb〕は、Φ=NΙ/R=μμSNΙ/2(T+L)となる。図で(鉄心内に)時計方向に循環する磁束が発生する。

2. 1.と同様に考えれば、コイル2.による磁束Φは、Φ=μμSNΙ/2(T+L)で与えられる。磁束は、'1.'と同様に、鉄心内で時計方向に循環するので、1.の磁束に加えればよい。全体の磁束磁Φ〔Wb〕は、Φ=μμS(NΙ+NΙ)/2(T+L)

3. 磁界H〔AT/m〕(NΙ+NΙ)/2(T+L)、 磁束密度B〔Wb〕μμであるから、単位体積当たりの磁気エネルギーは、BH/2=μμ/2〔J/mとなる。体積が、2(T+L)S〔mであるから、磁気エネルギーW〔J〕は、W=μμ(NΙ+NΙS/4(T+L)〔J〕=(NΙ+NΙ/2R〔J〕

4. 磁束の単位時間当たりの変化(磁束の時間に対する変化率)は、刄ウ/凾=μμS(N刄ァ/凾煤{N刄ァ/凾煤j/2(T+L)である。Ιの時間変化は考えないので、刄ウ/凾=μμSN/2(T+L)*刄ァ/凾=N/R*刄ァ/凾

5. コイル一回巻き当たりに誘起される電圧は、刄ウ/凾であるから、コイル1,コイル2にはそれぞれ、
端子bを基準にして、=N刄ウ/凾=μμSN/2(T+L)*刄ァ/凾煤kV〕=N/R*刄ァ/凾煤kV〕
端子dを基準にして、=N刄ウ/凾=μμSN/2(T+L)*刄ァ/凾煤kV〕=N/R*刄ァ/凾煤kV〕
の電圧が発生する。

6. 5.を参考にして、
 コイル1の自己インダクタンス  : N/R〔H〕
 コイル2の自己インダクタンス  : N/R〔H〕
 コイル1、コイル2の相互インダクタンス 12 : N/R〔H〕

7. 5.を参考にして、磁気抵抗〔AT/Wb〕=2(0.1+0.2)/10−4*4π×10−7*500=9.5×10 であるから、
 =10/R=0.1〔H〕
 =4×10/R=0.4〔H〕
 12=2×10/R=0.2〔H〕


これでこの項目は終わり

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