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電気回路U (1997年度 前期 本試験) 解答のコーナー

  .右の回路において、L/C=R12とする。 Iを求めよ。
ただし、E0は、実効値E0、角周波数ω0の電圧源、
1は、実効値E1、角周波数ω1の電圧源である。

 

解答
二つの電源は、角周波数が異なるのでそれぞれの電源による電流成分を求める際には、 インピーダンスが異なるので注意
ここでは、重ね合せによって求める。
電源E0のIに対する電流成分I0は、電圧源(この場合には、E1) の内部インピーダンスが0であることを考慮して、
0=E0/(jω0LR1/(jω0L+R1)+R2/(1+jω0CR2))
   =E0(1/jω0C+R2)(jω0L+R1) /(jω0LR1(1/jω0C+R2)+R2/jω0C*(jω0L+R1))
   =E0(R12+L/C+R1/jω0C+jω0LR2) /((R1+R2)L/C+R12(jω0L+1/jω0C))
   =E0(2+R1/jω0L+jω0CR2) /(R1+R2+j(ω0L−1/ω0C))

電源E1のIに対する電流成分I1は、R2を流れる電流とCを流れる電流の差で与えられる。
電圧源(この場合には、E0)の内部インピーダンスが0であることを考慮すれば、E1から流れる電流をI11として
1=I11(jω1L/(jω1L+R2)−R1/(1/jω1C+R1))
   =I11((jω1L(1/jω1C+R1)−R1(jω1L+R2))/(jω1L+R2)(1/jω1C+R1))
   =I11(L/C−R12))/(jω1L+R2)(1/jω1C+R1))
   =0 (L/C−R12=0の条件より)
 (電源E1から見たブリッジの平衡条件から、I1=0は自明)

 I=I0+I1=I0
  =E0(R12+L/C+R1/jω0C+jω0LR2) /((R1+R2)L/C+R12(jω0L+1/jω0C))

  .右の回路において、以下の問いに答えよ。
電源は、実効値Eの対称三相交流電源とする。

@a相を基準として、Iを求めよ。

解答
A→Bに流れる電流をIAB、C→Aに流れる電流をICAとすれば、 I=IAB−ICAで与えられる。
AB=(Ea−Eb)/Zab=31/2jπ/6a/Zab
CA=(Ec−Ea)/Zca=31/2j5π/6a/Zca
I=IAB−ICA=31/2jπ/6a(1/Zab−ej2π/3/Zca

ASを開いた時、点Aでの対地電位を求めよ。

解答
点Cから測った点Aの電位VCAは、BC間にEb−Ecの電圧が印加されていることを考慮して、
CA=(Eb−Ec)Zca/(Zbc+Zca
点Cの対地電位は、Ecであるから、点Aの対地電位Vaは、
a=Ec+VCA=Ec+(Eb−Ec)Zca/(Zbc+Zca
    =(Ebca+Ecbc)/(Zbc+Zca

  .右の回路において、四端子定数を求めよ。
解答
1=AV2+BI2
1=CV2+DI2
において、A〜Dを求めればよい。上の式より、
A=V1/V2(I2=0:右側を開放)
B=V1/I2(V2=0:右側を短絡)
C=I1/V2(I2=0:右側を開放)
D=I1/I2(V2=0:右側を短絡)
で求めることができる。左側の端子に適当な電源(例えば、実効値E、角周波数ωの電圧源) を想定して、上の比を求める。つまり、V1=Eとして考える。

Aについて: 直列インピーダンスでの分圧である
2=ER2/(R2+j(ωL−1/ωC))
A=E/V2=1+j(ωL−1/ωC)/R2

Bについて: LCに流れる電流である
2=E/j(ωL−1/ωC)
B=E/I2=j(ωL−1/ωC)

Cについて: Eより流れる全電流とR2の電圧の比である
全電流I1=E(1/R1+1/(R2+j(ωL−1/ωC)))
2=ER2/(R2+j(ωL−1/ωC))
C=I1/V2=(1/R1+1/(R2+j(ωL−1/ωC)))/R2/(R2+j(ωL−1/ωC))
  =(R2+j(ωL−1/ωC))/R12+1/R2
  =1/R1+1/R2+j(ωL−1/ωC)/R12

Dについて: 全電流に対するLCに流れる電流の割合である
2=E/j(ωL−1/ωC)
1=E(1/R1+1/j(ωL−1/ωC))
D=I1/I2=1+j(ωL−1/ωC)/R1

  .右の周期Tの電圧波形e(t)をフーリエ分解せよ。
解答
直流成分E0=1/T*∫e(t)dt;(t:0〜T)
    =1/T*∫Edt;(t:T/2〜T)=ET/2/T=E/2
直流成分を除いた関数‘e(t)−E/2’は、奇関数であるからsin成分だけを考えればよい。
n次の係数Esn=2/T*∫sin(nωt)e(t)dt;(t:0〜T)であるから
sn=2/T*∫Esin(nωt)dt;(t:T/2〜T)
   =2E/T*[−1/nω*cos(nωt)];(t:T/2〜T)
   =−2E/nωT*(cos(nωT)−cos(nωT/2))
   =−2E/nωT*(1−(−1)n
 nが奇数の時のみ0でない値になる。このとき、
sn=−2E/πn

e(t)=E(1/2−2/π*Σ1/n*sin(nωt));(n:正の奇数) 


これ以降はありません

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