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'98 05/08 レポート (作成中)


右に示されるような方形の周期Tの電圧V(t)がある。以下について考える。

@ T1=T/2のとき、V(t)をフーリエ変換(正弦波で分解)する。

V(t)=−V(−t)より、この電圧波形は奇関数である。よって、ω=2π/Tとして、
 V(t)=ΣVnsin(nωt);(n:自然数)
とかける。
 Vn=2/T・∫(V(t)sin(nωt))dt;(t:0〜T)
    =2/T・(∫(Esin(nωt))dt;(t:0〜T1)+∫(−Esin(nωt))dt;(t:T1〜T))
    =2E/T・([1/nω・(−cos(nωt))];(t:0〜T/2)−[1/nω・(−cos(nωt))];(t:T/2〜T))
    =2E/nωT・((1−cos(nωT/2))−(−cos(nωT)+cos(nωT/2)))
    =2E/n2π・((1−cos(nπ))−(−cos(2πn)+cos(nπ)))
    =2E/nπ・(1−(−1)n

 n;奇数 Vn=4E/nπ、 n;偶数 Vn=0 となる。式で表せば、
 V(t)=4E/πΣ1/n・sin(nωt);(n:正の奇数)
     =4E/π・(sin(ωt)+1/3・sin(3ωt)+1/5・sin(5ωt)+1/7・sin(7ωt)+・・・)

 

A @においてV(t)の実効値|V|を求める。

 |V|2=1/T・∫V(t)2dt;(t:0〜T)
        =1/T・(∫E2dt;(t:0〜T/2)+∫(−E)2dt;(t:T/2〜T))
        =E2
よって、
|V|=E

別解 フーリエ級数展開した結果を使えば、
 |V|2=(4E/π)2Σ(1/n)2/2;(n:正の奇数)
     =8(E/π)2・(1+1/32+1/52+1/72+・・・)
よって、
|V|=(4E/π浮Q)・普i1+1/32+1/52+1/72+・・・)

オマケ 上の二つの|V|2は同じ値であるから、
 1+1/32+1/52+1/72+・・・=π2/8

B @の電圧が右の回路に印加された時、i(t)を求める。ただし、i(0)=0

 V(t)=Ldi(t)/dt 、i(0)=0なので、t=τにおける電流i(τ)は、
 i(τ)=1/L・∫V(t)dt;(t:0〜τ) で得られる。

 0<τ<T/2のとき
 i(τ)=1/L・∫V(t)dt;(t:0〜τ)
    =1/L・∫Edt;(t:0〜τ)
    =E/L・τ

 T/2<τ<Tのとき
 i(τ)=1/L・∫V(t)dt;(t:0〜τ)
    =1/L・(∫Edt;(t:0〜T/2)+∫−Edt;(t:T/2〜τ))
    =1/L・(ET/2−E(τ−T/2))
    =E/L・(T−τ)

 Tだけ時間をずらせた時の電流i(τ+T)について考える。
 0<τ<T/2のとき
 i(τ+T)=1/L・∫V(t)dt;(t:0〜τ+T)
    =1/L・(∫V(t)dt;(t:0〜T)+∫V(t)dt;(t:T〜τ+T))
    =i(T)+1/L・∫Edt;(t:T〜τ+T))
    =E/L・τ (すぐ前で求めたように、i(T)=0)
    =i(τ)
 T/2<τ<Tのとき
 i(τ+T)=1/L・∫V(t)dt;(t:0〜τ+T)
    =1/L・(∫V(t)dt;(t:0〜T+T/2)+∫V(t)dt;(t:T+T/2〜τ+T))
    =i(T+T/2)+1/L・∫−Edt;(t:T+T/2〜τ+T))
    =E/L・T/2−E/L・(τ−T/2) (すぐ前で求めたように、i(T+T/2)=i(T/2)=E/L・T/2)
    =E/L・(T−τ)
    =i(τ)
 これを繰り返せば、i(τ+nT)=i(τ)、i(τ)は周期Tの関数であることが分かる。

これを図示すれば、右のグラフの赤線のようになる。

別解 フーリエ級数展開した結果を使えば、
 i(τ)=1/L・∫V(t)dt;(t:0〜τ)
     =1/L・∫(4E/πΣ1/n・sin(nωt);(n:正の奇数))dt;(t:0〜τ)
     =4E/πL・Σ∫(1/n・sin(nωt))dt;(t:0〜τ);(n:正の奇数))
     =4E/πL・Σ[−1/n・1/nω・cos(nωt)];(t:0〜τ);(n:正の奇数))
     =4E/πL・Σ−1/n2ω・(cos(nωτ)−1);(n:正の奇数)
     =4E/πωL・Σ1/n2・(1−cos(nωτ));(n:正の奇数)
     =2ET/π2L・Σ1/n2・(1−cos(nωτ));(n:正の奇数)
Σ1/n2;(n:正の奇数)=π2/8を使えば、
 i(τ)=ET/4L−2ET/π2L・Σ1/n2・cos(nωτ);(n:正の奇数)

オマケ先に求めた電流をフーリエ級数分解すると上の式になるはずである。(確かめる)
i(τ)は、i(τ)=i(−τ)より、偶関数である。よって、次のように展開される。
i(τ)=i0+Σincos(nωτ);(n:自然数)

   i0=1/T・∫i(τ)cos(nωτ)dτ;(τ:0〜T)
   in=2/T・∫i(τ)cos(nωτ)dτ;(τ:0〜T)

   in=2/T・(∫E/L・τcos(nωτ)dτ;(τ:0〜T/2)+∫E/L・(T−τ)cos(nωτ)dτ;(τ:T/2〜T))
第2項において、T−τ=tと置けば、
∫E/L・(T−τ)cos(nωτ)dτ;(τ:T/2〜T)=∫E/L・tcos(nω(T−t))dt;(t:0〜T/2)
        =∫E/L・tcos(nω(t−T)dt;(t:0〜T/2)
        =∫E/L・tcos(nωt−nωT)dt;(t:0〜T/2)
        =∫E/L・tcos(nωt)dt;(t:0〜T/2) (nωT=2πnなので)
 ゆえに、第2項は、第1項と同じ値になる。よって、
   in=2/T・(2∫E/L・τcos(nωτ)dτ;(τ:0〜T/2))
       =4E/TL・(∫・τcos(nωτ)dτ;(τ:0〜T/2))
       =4E/TL・([τ/nω・sin(nωτ)];(τ:0〜T/2)−∫1/nω・sin(nωτ)dτ;(τ:0〜T/2))
       =4E/TL・(−1/(nω)2・[−cos(nωτ)];(τ:0〜T/2)) (第1項は0になる)
       =4E/TL(nω)2・(cos(nπ)−1)
       =ET/L(πn)2・(cos(nπ)−1)
       =−2ET/L(πn)2;(n:奇数)、 0;(n:偶数) 

 i0=1/T・∫i(τ)cos(nωτ)dτ;(τ:0〜T)
       =1/T・(∫E/L・τdτ;(τ:0〜T/2)+∫E/L・(T−τ)dτ;(τ:T/2〜T))
       =E/TL・([1/2・τ2];(τ:0〜T/2)+[Tτ−1/2・τ2];(τ:T/2〜T))
       =E/TL・(1/2・(T/2)2)+(TT−1/2・T2)−(TT/2−1/2・(T/2)2))
       =ET/4L
 先程の別解と一致する。(同じ量を違う表現で表しただけのことである)

C 0<T1<TのときV(t)をフーリエ分解する。

 V(t)=V0+Σ(Vsnsin(nωt)+Vcncos(nωt));(n:自然数)

  V0=1/T・∫V(t)dt;(t:0〜T)
     =1/T・(∫Edt;(t:0〜T1)−∫Edt;(t:T1〜T)
     =1/T・(ET1+E(T1−T))
     =E(2T1/T−1)

  Vsn=2/T・∫(V(t)sin(nωt))dt;(t:0〜T)
    =2/T・(∫(Esin(nωt))dt;(t:0〜T1)+∫(−Esin(nωt))dt;(t:T1〜T))
    =2E/T・([−1/nω・cos(nωt)];(t:0〜T1)+[1/nω・cos(nωt)];(t:T1〜T))
    =2E/T・(1/nω・(1−cos(nωT1))+1/nω・(cos(nωT)−cos(nωT1)))
    =2E/nωT・(1−cos(nωT1)+1−cos(nωT1))
    =2E/nπ・(1−cos(nωT1))

  Vcn=2/T・∫(V(t)cos(nωt))dt;(t:0〜T)
    =2/T・(∫(Ecos(nωt))dt;(t:0〜T1)+∫(−Ecos(nωt))dt;(t:T1〜T))
    =2E/T・([1/nω・sin(nωt)];(t:0〜T1)−[1/nω・sin(nωt)];(t:T1〜T))
    =2E/T・(1/nω・sin(nωT1))−1/nω・(sin(nωT)−sin(nωT1)))
    =2E/nωT・(sin(nωT1))−(−sin(nωT1)))
    =2E/nπ・sin(nωT1

 これらの係数を用いて
  V(t)=E(2T1/T−1+ Σ2/nπ*((1−cos(nωT1))sin(nωt)+sin(nωT1)cos(nωt));(n:自然数))


これでこの項目は終わり

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