右図のように、X,Y,Z軸で与えられる空間に点R(x,y,z)(X,Y,Z軸の原点OとRを結ぶベクトルはR=(x,y,z)となる。)を考える。
点Rにおける任意ベクトルA(x,y,z)(=A(R))の極座標によるベクトル表現について考える。
まず、点Rを面上に含む原点Oを中心とした球面を考える。
ベクトルRのezからの角をθとし、これを変数とすれば、対応する単位ベクトルの方向(点Rがθの増加により移動する方向)は、図中のeθの方向になる。
(θの増加により移動する方向は、球面を地球と考えれば、Z軸を北極にとった時、地表で南に向かっていく方向でこれがeθの方向である。eθは点Rで球の表面に接するベクトルになる。)
また、X,Y,Z軸の原点Oと点Rとの距離をrとし、これを変数とすれば、対応する単位ベクトルの方向(点Rがrの増加により移動する方向)は、図中のerの方向になる。
(rの増加により点Rが移動する方向は、地表から上空に向かっていく方向になるので、erの方向は地表面に対して垂直である。ゆえにerとeθは、直交している。もちろん R=rerである。)
erとeθに直交する方向に点Rを変位させる変数を導入すれば、その変数に対応する単位ベクトルとerとeθの三つのベクトルによって任意の空間ベクトルは成分として表現される。)
さて、三つ目の方向としてerからeθへと右ねじを回して進む方向を採用する。
この方向は、Z軸を北極にとった時、地表で東に向かっていく方向(緯度を一定に保って東へ進む方向)になる。この方向は、XY平面に平行な方向になるので、XY平面に投影した時、図のようにX軸からY軸へ向かう向きを正として、X軸とのなす角をφとすれば、変数φの増加によって点Rが移動する方向と一致することが分かる。
この方向の単位ベクトルがeφと表され、er,eθ,eφは互いに直交したベクトルになる。
外積の表現を使えば、eφ=er×eθで、
er、eθ、eφの順で右手系の座標系になる。)
点RをR(r,θ,φ)で表し、その場所でer,eθ,eφの方向にそれぞれ、r,θ,φ軸を設定して A(R)を(Ar,Aθ,Aφ)で表現するのが極座標表示である。
(この座標系では、xyz座標系と違って、r軸、θ軸、φ軸の方向(er,eθ,eφ)は、 場所によって異なり、’θとφ’の関数er(θ,φ)、eθ(θ,φ)、eφ(θ,φ)になる。)
ここで、xyz座標と極座標の関係を示す。図より
x=rsinθcosφ、y=rsinθsinφ、z=rcosθ
逆にとけば、
r=(x2+y2+z2)1/2
θ=Cos-1(z/r)
φ=Tan-1(y/x)(0<x),φ=Tan-1(y/x)+π (x<0)
xyz座標で表して、
∂R/∂r=(sinθcosφ、sinθsinφ、cosθ)
∂R/∂θ=(rcosθcosφ、rcosθsinφ、−rsinθ)=r(cosθcosφ、cosθsinφ、−sinθ)
∂R/∂φ=(−rsinθsinφ、rsinθcosφ、0)=rsinθ(−sinφ、cosφ、0)
となるので、座標軸方向の単位ベクトルは次のように表される。
er=sinθcosφex+sinθsinφey+cosθez
eθ=cosθcosφex+cosθsinφey-sinθez
=sin(θ+π/2)cosφex+sin(θ+π/2)sinφey+cos(θ+π/2)ez
(eθは、erをθ方向へπ/2回転させたベクトルと一致する)
eφ=-sinφex+cosφey
=cos(φ+π/2)ex+sin(φ+π/2)ey
(eφは、erをφを一定にしてxy面内まで回転し(θ=π/2)、
φ方向へπ/2回転させたベクトルと一致する)
逆に解けば、
ex=sinθcosφer+cosθcosφeθ−sinφeφ
ey=sinθsinφer+cosθsinφeθ+cosφeφ
ez=cosθer−sinθeθ
R= | ∂R ∂r | 凾秩{ | ∂R ∂θ | 刄ニ+ | ∂R ∂φ | 刄モ |
A=Arer+Aθeθ+Aφeφ
=Ar(sinθcosφex+sinθsinφey+cosθez)
+Aθ(cosθcosφex+cosθsinφey-sinθez)
+Aφ(-sinφex+cosφey)
=(Arsinθcosφ+Aθcosθcosφ-Aφsinφ)ex
+(Arsinθsinφ+Aθcosθsinφ+Aφcosφ)ey
+(Arcosθ-Aθsinθ)ez
=Axex+Ayey+Azez
単位ベクトルにかかるそれぞれの係数を比較すれば、xyz座標と極座標のベクトル成分相互の関係がえられる。
(単位ベクトルにかかる係数がそれぞれの軸方向の成分を表す。)
Ax=Arsinθcosφ+Aθcosθcosφ-Aφsinφ
Ay=Arsinθsinφ+Aθcosθsinφ+Aφcosφ
Az=Arcosθ-Aθsinθ