例として、位置変数(x,y,z)を引き数にする関数f(x,y,z)を考える。
いま、位置変数x,y,zが1つの独立変数uの関数として
x(u),y(u),z(u)のように与えられるとき、fの微分を考える。
全微分と偏微分で述べたように、fの微小変化凾は、
凾= | ∂f ∂x | 凾+ | ∂f ∂y | 凾凵{ | ∂f ∂z | 凾 |
凾 凾 | = | ∂f ∂x | 凾 凾 | + | ∂f ∂y | 凾 凾 | + | ∂f ∂z | 凾 凾 |
とすれば、
d fd u | = | ∂f ∂x | d xd u | + | ∂f ∂y | d yd u | + | ∂f ∂z | d zd u |
これが、変換された変数による微分を表す。
また、x,y,zが、単一変数uだけではなくて、複数の独立変数によって表されるときには、
全微分を偏微分に変えて、
∂f ∂u | = | ∂f ∂x | ∂x ∂u | + | ∂f ∂y | ∂y ∂u | + | ∂f ∂z | ∂z ∂u |
二つの独立変数u,vによって、x(u,v),y(u,v),z(u,v)と表されるときには、
∂f ∂u | = | ∂f ∂x | ∂x ∂u | + | ∂f ∂y | ∂y ∂u | + | ∂f ∂z | ∂z ∂u |
∂f ∂v | = | ∂f ∂x | ∂x ∂v | + | ∂f ∂y | ∂y ∂v | + | ∂f ∂z | ∂z ∂v |
関数fでくくって、記号的に書いて両辺を比較すれば、
∂ ∂u | = | ∂x ∂u | ∂ ∂x | + | ∂y ∂u | ∂ ∂y | + | ∂z ∂u | ∂ ∂z |
∂ ∂v | = | ∂x ∂v | ∂ ∂x | + | ∂y ∂v | ∂ ∂y | + | ∂z ∂v | ∂ ∂z |
これが変換された変数による微分を表す。変数が増えても同様の表現で表される。(uを適当な変数に置き換えるだけのこと)
円柱座標で微分演算を書き直す。u=r、v=φ として考える。
x=rcosφ,y=rsinφ より、
∂/∂r=cosφ∂/∂x+sinφ∂/∂y
∂/∂φ=−rsinφ∂/∂x+rcosφ∂/∂y
逆に解けば、
∂/∂x=cosφ∂/∂r−1/r*sinφ∂/∂φ
∂/∂y=sinφ∂/∂r+1/r*cosφ∂/∂φ
スカラに対して演算すれば傾き(gradient)を与える演算子(ナブラ:∇)を円柱座標で表してみる。座標ベクトルの変換も考慮して、展開してまとめれば、
∇=ex∂/∂x+ey∂/∂y+ez∂/∂z
=(cosφer−sinφeφ)(cosφ∂/∂r−1/r*sinφ∂/∂φ)
+(sinφer+cosφeφ)(sinφ∂/∂r+1/r*cosφ∂/∂φ)+ez∂/∂z
=(cos2φ+sin2φ)er∂/∂r+1/r*(cos2φ+sin2φ)eφ∂/∂φ+ez∂/∂z
=er∂/∂r+eφ1/r*∂/∂φ+ez∂/∂z
円柱座標
∇= | er | ∂ ∂r |
+eφ | ∂ r∂φ |
+ez | ∂ ∂z |
極座標で微分演算を書き直す。u=r、v=θ、w=φとして考える。
x=rsinθcosφ,y=rsinθsinφ,z=rcosθ より、
∂/∂r=sinθcosφ∂/∂x+sinθsinφ∂/∂y+cosθ∂/∂z
∂/∂θ=rcosθcosφ∂/∂x+rcosθsinφ∂/∂y−rsinθ∂/∂z
∂/∂φ=−rsinθsinφ∂/∂x+rsinθcosφ∂/∂y
逆に解けば、
∂/∂x=sinθcosφ∂/∂r+1/r*cosθcosφ∂/∂θ−1/rsinθ*sinφ∂/∂φ
∂/∂y=sinθsinφ∂/∂r+1/r*cosθsinφ∂/∂θ+1/rsinθ*cosφ∂/∂φ
∂/∂z=cosθ∂/∂r−1/r*sinθ∂/∂θ
スカラに対して演算すれば傾き(gradient)を与える演算子(ナブラ:∇)を極座標で表してみる。座標ベクトルの変換も考慮して、展開してまとめれば、
∇=ex∂/∂x+ey∂/∂y+ez∂/∂z
=(sinθcosφer+cosθcosφeθ−sinφeφ)
(sinθcosφ∂/∂r+1/r*cosθcosφ∂/∂θ−1/rsinθ*sinφ∂/∂φ)
+(sinθsinφer+cosθsinφeθ+cosφeφ)
(sinθsinφ∂/∂r+1/r*cosθsinφ∂/∂θ+1/rsinθ*cosφ∂/∂φ)
+(cosθer−sinθeθ)(cosθ∂/∂r−1/r*sinθ∂/∂θ)
=er∂/∂r+eθ1/r*∂/∂θ+eφ1/rsinθ*∂/∂φ
極座標
∇= | er | ∂ ∂r |
+eθ | ∂ r∂θ |
+eφ | ∂ rsinθ∂φ |