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 電気工学で使う数学的手法 presented since 1996

多変数関数として表されるスカラの微分における変数変換

 例として、位置変数(x,y,z)を引き数にする関数f(x,y,z)を考える。
 いま、位置変数x,y,zが1つの独立変数uの関数として
x(u),y(u),z(u)のように与えられるとき、fの微分を考える。

 全微分と偏微分で述べたように、fの微小変化凾は、

凾=∂f
∂x
凾+ ∂f
∂y
凾凵{∂f
∂z

となる。ここで、両辺を凾浮ナ割れば、


∂f
∂x

∂f
∂y

∂f
∂z



となる。ここで、凵ィd とすれば、

d
d
∂f
∂x
d
d
∂f
∂y
d
d
∂f
∂z
d
d

  これが、変換された変数による微分を表す。

また、x,y,zが、単一変数uだけではなくて、複数の独立変数によって表されるときには、
全微分を偏微分に変えて、

∂f
∂u
∂f
∂x
∂x
∂u
∂f
∂y
∂y
∂u
∂f
∂z
∂z
∂u

二つの独立変数u,vによって、x(u,v),y(u,v),z(u,v)と表されるときには、

∂f
∂u
∂f
∂x
∂x
∂u
∂f
∂y
∂y
∂u
∂f
∂z
∂z
∂u

∂f
∂v
∂f
∂x
∂x
∂v
∂f
∂y
∂y
∂v
∂f
∂z
∂z
∂v

関数fでくくって、記号的に書いて両辺を比較すれば、


∂u
∂x
∂u

∂x
∂y
∂u

∂y
∂z
∂u

∂z


∂v
∂x
∂v

∂x
∂y
∂v

∂y
∂z
∂v

∂z

これが変換された変数による微分を表す。変数が増えても同様の表現で表される。(uを適当な変数に置き換えるだけのこと)

円柱座標で微分演算を書き直す。u=r、v=φ として考える。
  x=rcosφ,y=rsinφ より、
 ∂/∂r=cosφ∂/∂x+sinφ∂/∂y
 ∂/∂φ=−rsinφ∂/∂x+rcosφ∂/∂y

逆に解けば、
 ∂/∂x=cosφ∂/∂r−1/r*sinφ∂/∂φ
 ∂/∂y=sinφ∂/∂r+1/r*cosφ∂/∂φ

 スカラに対して演算すれば傾き(gradient)を与える演算子(ナブラ:∇)を円柱座標で表してみる。座標ベクトルの変換も考慮して、展開してまとめれば、
 ∇=∂/∂x+∂/∂y+∂/∂z
  =(cosφsinφφ)(cosφ∂/∂r−1/r*sinφ∂/∂φ) +(sinφcosφφ)(sinφ∂/∂r+1/r*cosφ∂/∂φ)+∂/∂z
  =(cosφ+sinφ)∂/∂r+1/r*(cosφ+sinφ)φ∂/∂φ+∂/∂z
  =∂/∂r+φ1/r*∂/∂φ+∂/∂z
円柱座標
 ∇= 
∂r
φ
r∂φ

∂z

極座標で微分演算を書き直す。u=r、v=θ、w=φとして考える。
  x=rsinθcosφ,y=rsinθsinφ,z=rcosθ より、
 ∂/∂r=sinθcosφ∂/∂x+sinθsinφ∂/∂y+cosθ∂/∂z
 ∂/∂θ=rcosθcosφ∂/∂x+rcosθsinφ∂/∂y−rsinθ∂/∂z
 ∂/∂φ=−rsinθsinφ∂/∂x+rsinθcosφ∂/∂y

逆に解けば、
 ∂/∂x=sinθcosφ∂/∂r+1/r*cosθcosφ∂/∂θ−1/rsinθ*sinφ∂/∂φ
 ∂/∂y=sinθsinφ∂/∂r+1/r*cosθsinφ∂/∂θ+1/rsinθ*cosφ∂/∂φ
 ∂/∂z=cosθ∂/∂r−1/r*sinθ∂/∂θ

 スカラに対して演算すれば傾き(gradient)を与える演算子(ナブラ:∇)を極座標で表してみる。座標ベクトルの変換も考慮して、展開してまとめれば、
 ∇=∂/∂x+∂/∂y+∂/∂z
  =(sinθcosφcosθcosφθsinφφ) (sinθcosφ∂/∂r+1/r*cosθcosφ∂/∂θ−1/rsinθ*sinφ∂/∂φ)
  +(sinθsinφcosθsinφθcosφφ) (sinθsinφ∂/∂r+1/r*cosθsinφ∂/∂θ+1/rsinθ*cosφ∂/∂φ)
  +(cosθsinθθ)(cosθ∂/∂r−1/r*sinθ∂/∂θ)
  =∂/∂r+θ1/r*∂/∂θ+φ1/rsinθ*∂/∂φ
極座標
 ∇= 
∂r
θ
r∂θ
φ
sinθ∂φ



これでこの項目は終わり

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