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 電気工学で使う数学的手法 presented since 1996

面積分と体積積分(多変数による積分)

ベクトルとしての面積分
 空間の各点において値が定義されるスカラ関数F()があるとする。 同じ空間に面Sを考えて、この面を`平面と見なせるほどの’`平面内でFの値が一定と見なせるほどの’微小な領域△Sに分割する。 それぞれの微小な領域をその領域上に存在する一つの点で代表させて `その点におけるFの値’と`その点に対応する微小な平面の面積’との積をすべての指定された領域に存在する微小平面について ’それぞれの微小領域における面の方向を考慮して’足しあわせるとき、 △S→0であれば、Fを面Sについて面積分するという。(ΔS→0でなければ、和をとることになる。)

 一般に面は、3次元空間に広がっており、面上の点の集合は、面の存在する空間における点の座標を二つの独立変数で表現することによってえられる。 独立変数を(u,v)で表せば、面上の点(=(x、y、z))は、(u,v)とも表されるので、(u,v)の関数とみなせる。
 すなわち、位置変数は、(u,v)=(x(u,v),y(u,v),z(u,v)) と表現される。

面上の点は、独立変数u,vを変化させることによって移動するので、uを△u変化させたときの点の移動を表すベクトル ∂/∂u*△uとvをΔv変化させたときの点の移動を表すベクトル∂/∂v*△vのそれぞれを辺とする平行四辺形で 微小平面をあらわせば、微小平面の面積△Sは、面の法線方向を考慮して、二つのベクトルの外積によってベクトルとして、
 △=∂/∂u*△u×∂/∂v*△v=∂/∂u×∂/∂v*△u△v
で与えられる。よって、スカラF(x,y,z)の面積分は、微小量を無限小の極限にして、(△→d、△u→du、△v→dv)

  ∫F(x,y,z)d=∫F(u,v)∂/∂u×∂/∂v*dudv

となる。 ∫F(u,v)∂/∂u×∂/∂v*dudvにおいて、
F(u,v)∂/∂u×∂/∂vは、u,vに関する(ベクトルの)被積分関数と見なすことができる。
xyzは、不変なベクトルであるから、 この積分はそれぞれの成分について行えばよい。∂/∂u×∂/∂v を成分で表せば、

 ∂/∂u×∂/∂v =(∂x/∂ux+∂y/∂uy+∂z/∂uz)× (∂x/∂vx+∂y/∂vy+∂z/∂vz

  =((∂y/∂u)*(∂z/∂v)−(∂z/∂u)*(∂y/∂v))x +((∂z/∂u)*(∂x/∂v)−(∂x/∂u)*(∂z/∂v))y +((∂x/∂u)*(∂y/∂v)−(∂y/∂u)*(∂x/∂v))z

であるから、記号的に表して(Jacobian(ヤコビアン)という
  (∂y/∂u)*(∂z/∂v)−(∂z/∂u)*(∂y/∂v)=∂(y,z)/∂(u,v)
  (∂z/∂u)*(∂x/∂v)−(∂x/∂u)*(∂z/∂v)=∂(z,x)/∂(u,v)
  (∂x/∂u)*(∂y/∂v)−(∂y/∂u)*(∂x/∂v)=∂(x,y)/∂(u,v)
とおけば、

 d=(∂(y,z)/∂(u,v)*x+∂(z,x)/∂(u,v)*y +∂(x,y)/∂(u,v)*z)dudv

 d=(∂(y,z)/∂(u,v)*dudvx+∂(z,x)/∂(u,v)*dudvy +∂(x,y)/∂(u,v)*dudvz

  ∫F(x,y,z)d=∫F(u,v)(∂(y,z)/∂(u,v)*x +∂(z,x)/∂(u,v)*y+∂(x,y)/∂(u,v)*z)dudv

      =∫F(u,v)∂(y,z)/∂(u,v)*dudvx +∫F(u,v)∂(z,x)/∂(u,v)*dudvy+∫F(u,v)∂(x,y)/∂(u,v)*dudvz

となり、スカラの面積分は、一般には上のようなベクトルになることが分かる。

z成分に注目して積分を考える。
u,vに関する被積分関数は、 F(u,v)((∂x/∂u)*(∂y/∂v)−(∂y/∂u)*(∂x/∂v))となる。
この関数がuだけを変数に持つ項Guとvだけを変数に持つ項Gvの積に分解できれば、 uに関する項とvに関する項は互いに定数と見なすことができて、z方向の成分は、
 ∫Gu(u)Gv(v)dudv=∫Gu(u)du*∫Gv(v)dv
となり、二つの線積分の積で与えられる。
また、被積分関数がF(u,v)((∂x/∂u)*(∂y/∂v)−(∂y/∂u)*(∂x/∂v))=d2F/dudv のようにuとvに関する一階づつの微分で与えられれば、u,vに関して一回づつ積分すれば面積分が得られる。

スカラとしての面積分
 面の大きさによって積分する場合について考える。この積分は、ベクトルとしての面積分において、ベクトルをベクトルの大きさによる 積分に変更すればよい。
先ほどと、同様の手続きにより、空間の各点において値が定義されるスカラ関数F()があるとする。 同じ空間に面Sを考えて、この面を`平面と見なせるほどの’`平面内でFの値が一定と見なせるほどの’微小な領域△Sに分割する。 それぞれの微小な領域をその領域上に存在する一つの点で代表させて`その点におけるFの値’と`その点に対応する微小な平面の面積’ との積をすべての指定された領域に存在する微小平面について足しあわせるとき、△S→0であれば、Fを面Sについて面積分するという。 (ΔS→0でなければ、和をとることになる。)

 一般に面は、3次元空間に広がっており、面上の点の集合は、面の存在する空間における点の座標を二つの独立変数で表現することによってえられる。 独立変数を(u,v)で表せば、面上の点(=(x、y、z))は、
(u,v)と(u,v)の関数となり、 (u,v)=(x(u,v),y(u,v),z(u,v)) と表現される。

面上の点は、独立変数u,vを変化させることによって移動するので、uを△u変化させたときの点の移動を表すベクトル ∂/∂u*△uとvをΔv変化させたときの点の移動を表すベクトル∂/∂v*△vのそれぞれを辺とする平行四辺形で 微小平面をあらわせば、微小平面の面積△Sは、面の法線方向を考慮して、二つのベクトルの外積によってベクトルとして、
 △=∂/∂u*△u×∂/∂v*△v=∂/∂u×∂/∂v*△u△v
で与えられる。よって、スカラF(x,y,z)の面積分は、微小量を無限小の極限にして、(△→d、△u→du、△v→dv)

  ∫F(x,y,z)|d|=∫F(u,v)|∂/∂u×∂/∂v*dudv|

となる。u,vに対する積分をu,vの増加する方向に行えば、dudv>0であるから、

  ∫F(x,y,z)|d|=∫F(u,v)|∂/∂u×∂/∂v|dudv
で与えられる。∫F(u,v)|∂/∂u×∂/∂v|dudvにおいて、
F(u,v)|∂/∂u×∂/∂v|は、u,vに関する被積分関数と見なすことができる。
/∂u×∂/∂vの成分は、先の計算を参考にして、求めることができる。参考にすれば、

 |∂/∂u×∂/∂v|=((∂(y,z)/∂(u,v))2+(∂(z,x)/∂(u,v))2 +(∂(x,y)/∂(u,v))21/2

  ∫F(x,y,z)|d|=∫F(u,v)((∂(y,z)/∂(u,v))2+(∂(z,x)/∂(u,v))2 +(∂(x,y)/∂(u,v))21/2dudv

となる。
u,vに関する被積分関数 F(u,v)((∂(y,z)/∂(u,v))2+(∂(z,x)/∂(u,v))2 +(∂(x,y)/∂(u,v))21/2 が、uだけを変数に持つ項Guとvだけを変数に持つ項Gvの積に分解できれば、 uに関する項とvに関する項は互いに定数と見なすことができて、
∫F(x,y,z)|d|=∫Gu(u)Gv(v)dudv=∫Gu(u)du*∫Gv(v)dv
となり、二つの線積分の積で与えられる。
また、被積分関数 F(u,v)((∂(y,z)/∂(u,v))2+(∂(z,x)/∂(u,v))2 +(∂(x,y)/∂(u,v))21/2 が、 d2F/dudv のようにuとvに関する一階づつの微分で与えられれば、v,uに関して一回づつ積分すれば面積分が得られる。

 被積分関数が、ベクトル()で、与えられれば、のそれぞれの成分について、各成分をスカラ関数と見なして、面積で積分すれば、 対応する成分の積分が得られる。もし、を場所(x,y,z)に依存しない座標系で展開すれば、各座標変数に対応する単位ベクトルの係数を 被積分関数として積分すれば、積分したベクトルが得られる。
 xyz座標で、を与えれば、()=(Fx(),Fy(),Fz())
であるので、例えば、x座標の成分は、∫Fx|d|のように、各成分をスカラ関数として積分すればよい。

もし、積分範囲がxy平面上だけで与えられていれば、u,vへの変換は、積分変数の変換を示す。
このときは、z=0とおいて、積分を書き直せば、
∫Fd=(∫F(u,v)(∂x/∂u)*(∂y/∂v)−(∂y/∂u)*(∂x/∂v)dudv)z
u=x、v=yであれば、 ∫Fd=∫F(x,y)dxdyzであるから、

∫F(x,y)dxdyz=∫F(u,v)((∂x/∂u)*(∂y/∂v)−(∂y/∂u)*(∂x/∂v))dudvz
zの係数を比較して、

∫F(x,y)dxdy=∫F(u,v)((∂x/∂u)*(∂y/∂v)−(∂y/∂u)*(∂x/∂v))dudv

となり、これが2変数の積分の変数変換を示す。

 被積分関数が、ベクトル()で、微小平面との内積を積分する場合には、
 d=(∂(y,z)/∂(u,v)*dudvx+∂(z,x)/∂(u,v)*dudvy +∂(x,y)/∂(u,v)*dudvz
であるから、=(Fx、Fy、Fz)とすれば、
 ∫・d=∫(Fx∂(y,z)/∂(u,v) +Fy∂(z,x)/∂(u,v)+Fz∂(x,y)/∂(u,v))dudv
とスカラの積分になる。

 また、||=F、|d|=dS、とdのなす角をθとすれば、
 ∫・d=∫FcosθdSとなり、’被積分関数がFcosθ’の面積分となる。


体積積分
 空間の各点において値が定義されるスカラ関数F()があるとする。 同じ空間に(積分範囲に相当する)立体Vを考えて、この立体を内部でFの値が一定と見なせる程の微小な立体△Vに分割する。 それぞれの微小な立体をその立体内に存在する一つの点で代表させて `その点におけるFの値’と`その点に対応する微小な立体の体積’との積をすべての指定された領域に存在する微小立体について足しあわせるとき、 △V→0であれば、Fを立体Vについて体積積分するという。(ΔV→0でなければ、和をとることになる。)

 一般に立体は、3次元空間に広がっており、立体中の点の集合は、立体の存在する空間における点の座標を三つの独立変数で表現することによってえられる。 独立変数を(u,v,w)で表せば、立体中の点(=(x、y、z))は、(u,v,w)のように独立変数(u,v,w)の関数となり、
 (u,v,w)=(x(u,v,w),y(u,v,w),z(u,v,w))
と表される。

立体中の点は、独立変数(u,v,w)を変化させることによって移動するので、uを△u変化させたときの点の移動を表すベクトル ∂/∂u*△uとvをΔv変化させたときの点の移動を表すベクトル∂/∂v*△vとwをΔw変化させたときの点の移動を表す ベクトル∂/∂w*△wのそれぞれを辺とする平行六面体で微小立体をあらわせば、微小立体の体積△Vは、 三つのベクトルによって外積で述べたように
 △V=(∂/∂u*△u×∂/∂v*△v)・∂/∂w*△w
   =(∂/∂u×∂/∂v)・∂/∂w*△u△v△w で与えられる。
よって、体積積分は、微小量を無限小の極限にして、(△V→dV、△u→du、△v→dv、△w→dw)

  ∫F(x,y,z)dV=∫F(u,v,w)(∂/∂u×∂/∂v)・∂/∂w*dudvdw
となる。先に求めた結果を参考にして

 ∂/∂u×∂/∂v

  =((∂y/∂u)*(∂z/∂v)−(∂z/∂u)*(∂y/∂v))x
   +((∂z/∂u)*(∂x/∂v)−(∂x/∂u)*(∂z/∂v))y
   +((∂x/∂u)*(∂y/∂v)−(∂y/∂u)*(∂x/∂v))z

より

 (∂/∂u×∂/∂v)・∂/∂w

  =((∂y/∂u)*(∂z/∂v)−(∂z/∂u)*(∂y/∂v))∂x/∂w
   +((∂z/∂u)*(∂x/∂v)−(∂x/∂u)*(∂z/∂v))∂y/∂w
   +((∂x/∂u)*(∂y/∂v)−(∂y/∂u)*(∂x/∂v))∂z/∂w
となる。(この量は、記号的に、∂(x,y,z)/∂(u,v,w)と表す(Jacobian(ヤコビアン)という)。)

∫F(u,v,w)(∂/∂u×∂/∂v)・∂/∂w*dudvdwにおいて、
F(u,v,w)(∂/∂u×∂/∂v)・∂/∂wは、u,v,wに関する被積分関数と見なすことができる。 この関数がuだけを変数に持つ項Fuとvだけを変数に持つ項Fvとwだけを変数に持つ項Fwの積に分解できれば、 uに関する項とvに関する項とwに関する項は互いに定数と見なすことができて、
∫F(z,y,z)dV=∫Fu(u)*Fv(v)*Fw(w)dudvdw =∫Fu(u)du*∫Fv(v)dv*∫Fw(w)dw
となり、三つの線積分の積で与えられる。

また、F(u,v,w)(∂/∂u×∂/∂v)・∂/∂w=d3F/dudvdwのようにuとvとwに関する 一階づつの微分で与えられれば、u,v,wに関して一回づつ積分すれば体積積分が得られる。

 ここで、x=u、y=v、z=wであれば、∫FdV=∫F(x,y,z)dxdydzであるので、
∫FdV=∫F(u,v,w)(∂/∂u×∂/∂v)・∂/∂w*dudvdw
と等しいとおけば、
∫F(x,y,z)dxdydz=∫F(u,v,w)(∂/∂u×∂/∂v)・∂/∂w*dudvdw

となり、これが3変数の積分の変数変換を示す。
  ’重み’(∂/∂u×∂/∂v)・∂/∂w の成分表現は、先に示してある。

F()がベクトル()の場合には、体積積分
dV=∫(Fx、Fy、Fz)dV=(∫FxdV、∫FydV、∫FzdV)
であるので、被積分関数を成分毎にスカラと見なして積分すればよい。



これでこの項目は終わり

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