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点(ベクトル)の回転を与える行列の性質

 さきに、三次元空間において、点(ベクトル)の回転を表す行列がどの様に与えられるかについて示した。そのときの変換行列は、 l(=(lx、ly、lz)  (単位ベクトルであるから、lx2+ly2+lz2=1)の軸の周りのθ回転では、

で与えられる。この行列を次のように成分としてとらえた場合の各成分間の関係について、検討する。

は回転を与える行列であるから、直交座標系の座標変数に対応する単位ベクトルによる変換後も互いに直交し、大きさは'1'になっているはずである。xyz座標に相当する単位ベクトルは、変換によって、('= を計算する。に座標軸に対応する単位ベクトルを入れる。)
  x→(U11,U21,U31)(=1
  y→(U12,U22,U32)(=2
  z→(U13,U23,U33)(=3
へ変換される。変換前のベクトルは、xyzの順に右手系をなす 直交座標系の座標軸に相当する単位ベクトルであったので、変換後のベクトルもこの順に右手系をなす直交座標系の座標軸に相当する単位ベクトルになる。 1×23となる。成分で表せば、
@  U1122−U1221=U33
A  U2233−U2332=U11
B  U3311−U3113=U22

互いに直交しているので、
C  U1112+U2122+U3132=0
  (U1213+U2223+U3233=0)
  (U1311+U2321+U3331=0)
 上の括弧付きの二つの内積の式は、@〜Bが成り立てば、外積の性質により'0'になることは、自明である。

単位ベクトルであるから
D  U112+U212+U312=1
E  U122+U222+U322=1
  (U132+U232+U332=1)
 上の括弧付きのベクトルの大きさの式は、12が互いに直交しているので(上の条件C)、外積の性質により'1'になることは、自明である。

 これらの関係が成り立つことを、この頁の初めで示した回転を表す行列の成分によって、以下に確認する。

外積の成分を比較する
 U1122−U1221
   =(cosθ+lx2(1−cosθ))(cosθ+ly2(1−cosθ)) −(−lzsinθ+lxy(1−cosθ))(lzsinθ+lxy(1−cosθ))
   =cos2θ+lx2y2(1−cosθ)2+ (lx2+ly2)cosθ(1−cosθ) −(−lz2sin2θ+lx2y2(1−cosθ)2
   =lz2+(1−lz2)cosθ
   =U33
 他の成分についても成り立つことが確認される。
  U3233−U2332=U11
  U1311−U3113=U22

互いの直交性を確認する
  U1112+U2122+U3132
   =(cosθ+lx2(1−cosθ))(−lzsinθ+lxy(1−cosθ)) +(lzsinθ+lxy(1−cosθ))(cosθ+ly2(1−cosθ)) +(−lysinθ+lxz(1−cosθ))(lxsinθ+lzy(1−cosθ))
   =−lzsinθ(cosθ+lx2(1−cosθ))+2lxy(1−cosθ)cosθ +lzsinθ(cosθ+ly2(1−cosθ)) −lxysin2θ+(lx2−ly2)lzsinθ(1−cosθ) +lxy(1−cosθ)2
   =−lzsinθ(cosθ+lx2(1−cosθ)) +lzsinθ(cosθ+ly2(1−cosθ))+(lx2−ly2)lzsinθ(1−cosθ)
   =0

単位ベクトルであることを確認する
  U112+U212+U312
   =(cosθ+lx2(1−cosθ))2+(lzsinθ+lxy(1−cosθ))2 +(−lysinθ+lxz(1−cosθ))2
   =cos2θ+2cosθlx2(1−cosθ)+lx4(1−cosθ)2 +lz2sin2θ+2lxyzsinθ(1−cosθ)−lx2y2(1−cosθ)2 +ly2sin2θ−2lxyzsinθ(1−cosθ)+lx2z2(1−cosθ)2
   =cos2θ+2cosθlx2(1−cosθ)+lx2(1−cosθ)2 +lz2sin2θ+ly2sin2θ
   =cos2θ+2lx2cosθ(1−cosθ)+lx2(1−cosθ)2 +(1−lx2)(1−cos2θ)
   =1
 他の成分についても成り立つ
  U122+U222+U322=1

 よって、この頁の始めに示した行列は、回転変換を表す行列としての条件を満たすことが分かる。
一般には、@〜Eのすべての条件を満たせば回転変換を表す行列になる。
行列が9成分よりなることを考えれば、独立な変数は3つであることが分かる。初めに示した行列においては、’α、γ、θ’が独立変数に相当する。 これらの変数により、この頁の初めに示した変換行列のlx、ly、lz、θが与えられる。



これでこの項目は終わり

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