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電気磁気学I (2000年度 後期 本試験) 答の解説コーナー


I 真空中に充分長い半径R1[m]の円柱導体1と内半径R2[m]で筒の肉厚t[m]の円筒導体2が同軸状に配置されている。 以下の問いに答えよ。(R1<R2とする。)必要な座標は各自で設定せよ。

 @ 円筒導体2の外側表面を接地して、円柱導体1に単位長さ当たりλ[C/m]の電荷を与えた。円筒導体2に分布する電荷を求めよ。

円筒導体2について−−−
導体では、電荷は表面に分布し、導体内部には電界は存在しない。円筒導体の内側表面のごく内側での電界が、λ/2πε02であることを考慮して、円筒導体の内側表面を挟んでガウスの定理を用いれば、円筒導体の内側表面には、−λ/2πR2[C/m2]の電荷が分布することが導かれる。円筒導体の外側表面は、接地されており、電位は'0'である。無限の遠方でも電位は'0'であるから、円筒導体の外側表面には電荷は分布しない。

 A @において、円柱導体1の中心軸からの距離r[m]における電界の大きさを求めよ。

同軸の中心を中心として、半径r、高さHの円柱閉曲面でガウスの定理を使えば、
r<R1、R2<rのとき  E=0 [V/m]
1<r<R2 のとき  E=λ/2πε0r [V/m](電界は外向きを正とした)

 B @において、円柱導体1の中心軸からの距離R[m]における電位を求めよ。

電位φ=∫−Edr(r;R2〜R)
   =0 [V] (R2<R)
   =λ/2πε0*log(R2/R) [V] (R1<R<R2) 
   =λ/2πε0*log(R2/R1) [V] (R<R1) 

 C Bにおいて、全体を比誘電率εの媒質で満たした。電位はどうなるか。

電界が1/εrになるので、電位も真空中に比べて、1/εrになる。

 D Cにおいて、円柱導体1と円筒導体2の間の単位長さ当たりの静電容量を求めよ。

電位差φ0がλ/2πε0ε*log(R2/R1)であるから単位長さあたりの静電容量CLは、
 CL=λ/φ0=2πε0ε/log(R2/R1) [F/m]

 E ε=3、R=2.2[mm]、R=6[mm]、t=0.1[mm]とする。 Dにおいて、単位長さ当たりの静電容量はいくらか。 ( ただし、loge(3/1.1)=1、ε0=8.854×10−12[F/m]として計算してもよい。)

Cを参考にして、
 CL=2πε0εr/log(R2/R1) =2π×8.854×10-12×3
=1.67×10-10 [F/m] =167[pF/m]

 

II 比誘電率εで厚さT[m]の無限に広い誘電体板を電界E[V/m]の一様電界中においた。ただし、誘電体板の表面が電界の方向と垂直になるようにおいた。次の問に答えよ。

 @ 誘電体板内部の電束密度を求めよ。

電束密度Dは誘電体板外部と内部で等しいので、ε0E〔C/m

 A 誘電体内部の電界を求めよ。

誘電体内部の電界をEとすれば、D=ε0εなので、
=E/ε

 B 誘電体表面に誘起される電荷の面密度を求めよ。

誘電体表面に’分極により’誘起される電荷により、Aで与えられる電界になった。電界についてガウスの定理を誘電体板表面に適用すれば、 誘電体表面に分極により誘起される電荷の密度σは、E−E=σ/ε0であるから、
σ=ε0(1−1/ε)E

 

III 真空中の点(1,1,0)[m]にQ[C]の点電荷、点(−1,−1,0)[m]にQ[C]の点電荷がある。 以下の問いに答えよ。

 @ Q=−Q=1×10−9[C]のとき、 原点における電界、電位、電束密度、単位体積当たりの静電エネルギーを求めよ。

点(1,1,0)[m]にあるQ[C]の点電荷が原点に作る電界は、
=Q/4πε03/2(−1,−1,0)
点(−1,−1,0)[m]にあるQ[C]の点電荷が原点に作る電界は、
=Q/4πε03/2(1,1,0)
よって、原点における電界は、Q=−Q=1×10−9[C]を考慮して、
=1×10−9×2/4πε03/2(−1,−1,0)=9(−1,−1,0)/21/2〔V/m〕

電位は、それぞれの点電荷による電位を足せばよい。両方の点電荷から等距離にあるので、0〔V〕

電束密度はε0=7.97×10−11(−1,−1,0)/21/2〔C/m

単位体積当たりの静電エネルギーは/2であるので、3.58×10−10〔J/m〕 

 A @で、全体を比誘電率 2 の媒質で満たした。原点における電界、電位、電束密度を求めよ。

電界と電位は、比誘電率に反比例する。@を参考にして、
=4.5(−1,−1,0)/21/2〔V/m〕

電位は、もともと0〔V〕であるから、0〔V〕

電束密度は変わらず、7.97×10−11(−1,−1,0)/21/2〔C/m

 B @で、電位が0[V]の等電位面を求めよ。

二つの点電荷を結ぶ線分の垂直二等分面になる。式で表せば、x+y=0

 C Aで、1[C]の点電荷を、x軸上の正の無限の遠方から原点まで移動させた。この点電荷の得たポテンシャルエネルギーを求めよ。

原点の電位が0〔V〕であるから、0〔J〕

これ以降はありません

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