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電気磁気学IB (2003年度 後期 本試験) 答の解説コーナー


※真空中の誘電率は、8.854×10−12〔F/m〕とせよ。

 

 I 比誘電率εの媒質中に面積S〔m〕の導体板1,2が間隔d〔m〕で平行にある。以下の問いに答えよ。

 @ 導体板1にQ〔C〕、導体板2に−Q〔C〕(Q>0)の電荷を与えた。導体板間の電界と電束密度を求めよ。

電束・電界は、板に垂直な方向を向く。電束密度についてガウスの定理を適用すれば、
導体板1の与える電束密度D
2S
〔C/m〕 導体板から外に向かう方向
導体板2の与える電束密度D
2S
〔C/m〕 導体板に向かう方向

両方を合成すれば
導体板間:電束密度D=
〔C/m〕(導体板1から導体板2に向かう方向)
導体板の外側:D=0〔C/m

E=
εε
であるから
導体板間:電界E=
εε
〔V/m〕(導体板1から導体板2に向かう方向)
導体板の外側:E=0〔V/m〕

 A 導体板1と導体板2の間の電位差を求めよ。

導体板間では一様電界であるから
電位差V=Ed=Qd
εε
〔V/m〕(導体板2が基準電位)

 B 導体板1と導体板2をコンデンサと見なしたときの静電容量を求めよ。

静電容量C=
εε
〔F〕

 C @において、電気力線を示せ。

導体板1から導体板2まで一様に垂直にのびる。
(図は省略)

 D Bにおいて、ε=2、S=1〔m〕、d=3〔o〕のとき静電容量を求めよ。

Bの結果に値を代入すれば、5.9nF

 

II 比誘電率εの媒質中で、電荷が密度σ〔C/m〕で均一に半径d〔m〕の円筒状に分布している。以下の問に答えよ。

 @ 筒の中心軸からr〔m〕の位置の電界と電束密度と分極密度を求めよ。

 電界・電束が、円筒の中心軸に対して垂直の向きにあることを考慮して、高さH、半径rの円筒状の閉曲面でガウスの定理を用いる。

 r<dの時
  閉曲面内に電荷はないので、D=0、故にE=0、P=0

 r>dの時
  閉曲面内の全電荷量=2πdHσ〔C〕、 電束=2πrHD〔C〕(円筒の中心軸に対して外向きを正の方向とした)
D=2πdHσ
2πrH
dσ
〔C/m
E=
εε
dσ
εε
〔V/m〕
P=D−εE=(ε−1)εE= (1−
ε
)εdσ
〔C/m

 A 筒の中心軸からR〔m〕の位置の電位を求めよ。ただし、電位の基準を円筒の中心軸とする。

 R<dの時には、電界は0であるから電位は一定である。R=0で電位φ=0であるので、

 R<d のとき φ=0

 d<Rのとき
 
φ=
  −Ed r=dσ
εε
log
〔V〕

 B ε=3、σ=1〔C/m〕、d=0.1〔m〕とする。中心軸から1〔m〕の位置に−2〔C〕の点電荷がある。点電荷の受ける力を求めよ。

 電界の大きさは、3.8×10〔V/m〕であるから、7.5×10〔N〕の力が中心軸に向かって働く。

III 比誘電率3の媒質中の点(1,0,0)〔m〕に1×10−9〔C〕の点電荷、 点(−1,0,0)〔m〕に1×10−9〔C〕の点電荷がある。以下の問いに答えよ。

 @ 原点における電界と電位を求めよ。


 原点には、逆方向の同じ大きさの電界が働くので、電界は0〔V/m〕になる。

それぞれの電荷は、原点に同じ電位を与える。(1,0,0)にある電荷が原点に及ぼす電位は、
9×10・1×10−9
3・1
=3〔V〕
であるから、原点の電位は、6V

 A 点(0,0,1)〔m〕における電界と電位を求めよ。


 y軸の正の方向から眺めて、電荷からの距離が21/2mであることを考慮して電界を合成する。
 電界は大きさ2.1V/mでz軸の正の方向を向く。電位は、4.2Vとなる。

 B −1〔C〕の点電荷を、y軸上の正の無限の遠方から原点まで移動させた。この点電荷の得たポテンシャルエネルギーを求めよ。


 無限遠の電位は0V、原点の電位は6Vであるから、−6Jとなる。

 


これ以降はありません

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