※真空中の誘電率は、8.854×10−12〔F/m〕とせよ。
I 厚さt1〔m〕、比誘電率εr1の媒質1と厚さt2〔m〕、比誘電率εr2の媒質2を重ねて、両側から面積S〔m2〕の導体板1,2で挟んだ。以下の問いに答えよ。
@ 導体板1にQ〔C〕、導体板2に−Q〔C〕(Q>0)の電荷を与えた。導体板間の電界と電束密度を求めよ。
電束・電界は、板に垂直な方向を向き、電束密度は媒質によらず一定である。電束密度についてガウスの定理を適用すれば、
導体板1の与える電束密度D1= | Q 2S | 〔C/m2〕 導体板から外に向かう方向 |
導体板2の与える電束密度D2= | Q 2S | 〔C/m2〕 導体板に向かう方向 |
導体板間:電束密度D= | Q S | 〔C/m2〕(導体板1から導体板2に向かう方向) |
E= | D εrε0 |
媒質1: 電界E1= | Q εr1ε0S | 〔V/m〕(導体板1から導体板2に向かう方向) |
媒質2: 電界E2= | Q εr2ε0S | 〔V/m〕(導体板1から導体板2に向かう方向) |
A 導体板1と導体板2の間の電位差を求めよ。
それぞれの媒質の電位差を足せばよい。
媒質1の電位差V1=E1t1= | Qt1 εr1ε0S | 〔V/m〕 |
媒質2の電位差V2=E2t2= | Qt2 εr2ε0S | 〔V/m〕 |
電位差V=E1t1+E2t2=( | t1 εr1ε0S | + | t2 εr2ε0S | )Q〔V/m〕 |
B εr1=2、εr2=4、S=1〔m2〕、t1=0.1〔mm〕、t2=0.2〔mm〕のとき静電容量はいくらになるか。
静電容量C= | Q V | =88.5x103 | 〔pF〕 |
C Bの条件において、導体板間の電気力線を描け。
媒質1の電気力線の本数は、媒質2の電気力線の本数の倍で、導体板1から導体板2の方向へ垂直にのびる。
(図は省略)
D Bの条件において、導体板間の電束線を描け。
導体板1から導体板2まで一様に垂直にのびる。
(図は省略)
II 比誘電率εrの媒質中で、電荷が密度σ〔C/m2〕で均一に半径d〔m〕の円筒状に分布している。以下の問に答えよ。
@ 筒の中心軸からr〔m〕の位置の電界と電束密度と分極密度を求めよ。
電界・電束が、円筒の中心軸に対して垂直の向きにあることを考慮して、高さH、半径rの円筒状の閉曲面でガウスの定理を用いる。
r<dの時
閉曲面内に電荷はないので、D=0、故にE=0、P=0
r>dの時
閉曲面内の全電荷量=2πdHσ〔C〕、 電束=2πrHD〔C〕(円筒の中心軸に対して外向きを正の方向とした)
D= | 2πdHσ 2πrH | = | dσ r | 〔C/m2〕 |
E= | D εrε0 | = | dσ εrε0r | 〔V/m〕 |
P=D−ε0E=(εr−1)ε0E= | (1− | 1 εr |
) | dσ r | 〔C/m2〕 |
A 筒の中心軸からR〔m〕の位置の電位を求めよ。ただし、電位の基準を円筒表面とする。
R<dの時には、電界は0であるから電位は一定である。R=dで電位φ=0であるので、
R<d のとき φ=0
d<Rのとき
φ= | ∫ | R | ||
−Ed r= | dσ ε0εr | log | d R | 〔V〕 |
d |
B εr=2、σ=1〔C/m2〕、d=0.1〔m〕とする。中心軸から1〔m〕の位置に−2〔C〕の点電荷がある。点電荷の受ける力を求めよ。
電界の大きさは、5.6×109〔V/m〕であるから、11.2×109〔N〕の力が中心軸に向かって働く。
III 比誘電率3の媒質中の点
@ 原点における電界と電位を求めよ。
それぞれの電荷は、原点に同じ電位を与える。(1,0,0)にある電荷が原点に及ぼす電位は、
9×109・1×10−9 3・1 | =3〔V〕 |
A 点(0,0,1)〔m〕における電界と電位を求めよ。
B 0.1〔C〕の点電荷を、y軸上の正の無限の遠方から原点まで移動させた。この点電荷の得たポテンシャルエネルギーを求めよ。