このページは、 Wednesday, 17-Jan-2007 16:25:47 JSTに更新されました。
このページは、’後藤 英雄@電気電子システム工学科 中部大学’が作成しています。
質問、連絡は、後藤@電気電子システム工学科へお願いします。

電気磁気学IB (2006年度 後期 本試験-2) 答の解説コーナー


※真空中の誘電率は、ε0=8.854×10−12〔F/m〕とせよ。

I 真空中に充分長い半径R1〔m〕の円柱導体1と内半径R2〔m〕で筒の肉厚t〔m〕の円筒導体2が同軸状に配置されている。 以下の問いに答えよ。(R1<R2とする。)

 @ 円筒導体2の外側表面を接地して、円柱導体1に単位長さ当たりλ[C/m]の電荷を与えた。円筒導体2に分布する電荷を求めよ。

円筒導体2について−−−
導体では、電荷は表面に分布し、導体内部には電界は存在しない。円筒導体の内側表面のごく内側での電界が、λ/2πε02であることを考慮して、円筒導体の内側表面を挟んでガウスの定理を用いれば、円筒導体の内側表面には、−λ/2πR2[C/m2]の電荷が分布することが導かれる。円筒導体の外側表面は、接地されており、電位は'0'である。無限の遠方でも電位は'0'であるから、円筒導体の外側表面には電荷は分布しない。

 A @において、円柱導体1の中心軸からの距離r[m]における電界の大きさを求めよ。

同軸の中心を中心として、半径r、高さHの円柱閉曲面でガウスの定理を使えば、
r<R1、R2<rのとき  E=0 [V/m]
1<r<R2 のとき  E=λ/2πε0r [V/m](電界は外向きを正とした)

 B @において、円柱導体1の中心軸からの距離R[m]における電位を求めよ。

電位φ=∫−Edr(r;R2〜R)
   =0 [V] (R2<R)
   =λ/2πε0*log(R2/R) [V] (R1<R<R2) 
   =λ/2πε0*log(R2/R1) [V] (R<R1) 

 C Bにおいて、全体を比誘電率εの媒質で満たした。電位はどうなるか。

電界が1/εrになるので、電位も真空中に比べて、1/εrになる。

 D Cにおいて、円柱導体1と円筒導体2の間の単位長さ当たりの静電容量を求めよ。

電位差φ0がλ/2πε0ε*log(R2/R1)であるから単位長さあたりの静電容量CLは、
 CL=λ/φ0=2πε0ε/log(R2/R1) [F/m]

 E ε=3、R=2.2[mm]、R=6[mm]、t=0.1[mm]とする。 Dにおいて、単位長さ当たりの静電容量はいくらか。 ( ただし、loge(3/1.1)=1、ε0=8.854×10−12[F/m]として計算してもよい。)

Cを参考にして、
 CL=2πε0εr/log(R2/R1) =2π×8.854×10-12×3
=1.67×10-10 [F/m] =167[pF/m]

 

II 無限に広い接地された導体平面がある。以下の問に答えよ。

 @ 導体平面から距離1〔m〕離れた位置に、1〔C〕の点電荷がある。点電荷に働く力を求めよ。

−1〔C〕の影像電荷を考える。影像電荷までの距離は、2〔m〕であるから、9×10・1/2=9×10・1/4〔N〕の 引力が働く。

 A @において、全体を比誘電率2の媒質で満たした。点電荷に働く力を求めよ

電界は、1/2になるので、9×10・1/8〔N〕の引力が働く。

 B Aにおいて、点電荷を無限の遠方まで移動させるために必要なエネルギーを求めよ。

ポテンシャルは、−9×10・1/2・2=−9×10・1/4〔V〕であるから、9×10・1/4〔J〕が必要

 

III 比誘電率3の媒質中の点(1,0,0)〔m〕に1×10−9〔C〕の点電荷、 点(−1,0,0)〔m〕に−1×10−9〔C〕の点電荷がある。以下の問いに答えよ。

 @ 原点における電界と電位を求めよ。

点(1,0,0)〔m〕にある1×10−9〔C〕の点電荷が原点に作る電界は、
1×10−9/3・4πε03/2(−1,0,0)=(−3,0,0)〔V/m〕
点(−1,0,0)〔m〕にある−1×10−9〔C〕の点電荷が原点に作る電界は、
−1×10−9/3・4πε03/2(1,0,0)=(−3,0,0)〔V/m〕
よって、原点における電界は、二つの電荷の寄与を加えて、(−6,0,0)〔V/m〕

電位は、それぞれの点電荷による電位を足せばよい。二つの電荷は、原点から等距離で大きさが等しく符号が異なるので、0〔V〕

 A 点(0,0,1)〔m〕における電界と電位を求めよ。


 y軸の正の方向から眺めて、電荷からの距離が21/2〔m〕であることを考慮して電界を合成する。
 電界は大きさ2.1〔V/m〕でx軸の負の方向を向く。電位は、0〔V〕となる。

 B −1〔C〕の点電荷を、y軸上の正の無限の遠方から原点まで移動させた。この点電荷の得たポテンシャルエネルギーを求めよ。


 無限遠の電位は0V、原点の電位は0Vであるから、0Jとなる。

 


これ以降はありません

問題と解答(例)のコーナーへ戻る

電気磁気学I(IA,IB)へ戻る