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電気磁気学I (1996年度 後期 本試験) 答の解説コーナー

  I 半径R(m)の導体球が(接地されないで)真空中にある。導体球の中心よりL(m)の位置に Q(C)の点電荷を持ってきた。以下の問いに答えよ。(ただし、R<L)

 

@ 点電荷の受ける力を求めよ。

 −R/L*Qの影像電荷を導体球の中心と点電荷を結ぶ線上で、導体球の中心より点電荷の方向へ、R/L*Rの位置に 置くことによって、導体球表面に相当する面を電位0の等電位面とすることができる。設問より、導体球は接地されていないので、 導体球表面に相当する面を等電位面に保って、導体球の電荷保存に相当する電荷を何処かに置けば良いことになる。 この新たに置いた電荷単独で、導体球表面に相当する面が等電位面になれば、全体としても導体球表面に相当する面は、等電位面になる。 また、導体球内にこの新たな電荷があれば、この電荷と先の−R/L*Qの影像電荷の和が、導体球内にあることになる。 この和は0であるから、新たな電荷として、導体球の中心の位置(導体球の中心の位置の電荷による電気力線は、導体球表面と垂直である) にR/L*Qの点電荷を考えれば、導体内の電荷は0で、導体表面の電気力線は垂直となる。 よって、導体球の外側の電界と電位の分布を考える場合には、導体球表面に分布する電荷をこの二つの点電荷に置き換えてもよい。
力Fは、導体球の中心から外に向かう方向を正の方向として、

 F=((R/L*Q)/4πε02−(R/L*Q)/4πε0(L−R/L*R)2)*Q
  =Q2R/4πε03*(1−1/(1−(R/L)2))

 大きさ Q2R/4πε03*(1/(1−(R/L)2)−1) (N)の引力が働く。

 

A 導体球の電位を求めよ。

A −R/L*Qの影像電荷とQの電荷で、導体球表面に相当する面は電位0であるから、導体球の中心の電荷による電位だけを考えれば良い。

電位φは、

 φ=(R/L*Q)/4πε0R=Q/4πε0L であるので

 Q/4πε0L (V)

 


II 面積S(m2)の平行平板導体がd(m)の間隔で真空中に置かれている。以下の問いに答えよ。

 

@ 極板間にV(V)の電圧を印加した時、極板間の電界を求めよ。

 極板間で、電界は一様であるから、電界をEとすれば、E=V/d (V/m)又は(N/C)

 

A @で、極板間のある場所にQ(c)の点電荷がある。この点電荷の受ける力を求めよ。

 電界がV/d(V/m)であるから、力は QV/d(N)

 

B @で、全体を比誘電率εrの媒質で満たした。極板に蓄積した電荷量を求めよ。

静電容量C=ε0εrS/d であるから、電荷量は、CV=ε0εrSV/d

別解:平行平板では、面電荷密度σと電界Eとは、E=σ/ε0εrであるから、σ=ε0εr
 よって電荷量は、σS=ε0εrES=ε0εrSV/d

 


  III (0,0,1)(m)、(0,1,0)(m)、(1,0,0)(m)の位置に1(c)の点電荷がある。以下の問いに答えよ。

 

@ (1/2,1/2,1/2)(m)での電界と電位を求めよ。

(0,0,1)の電荷による電界は、1/4πε0((1/2)2+(1/2)2+(−1/2)23/2*(1/2,1/2,−1/2)
他の点電荷による電界も同様に表してたせば、

=1/4πε0((1/2)2+(1/2)2+(1/2)23/2*(1/2,1/2,1/2)
  =1/4πε0((1/2)2+(1/2)2+(1/2)23/2*(1/2,1/2,1/2)
  =1/4πε0(3/4)3/2*(1/2)(1,1,1)
  =1/4πε0(3/4)3/2*(1/2)(1,1,1)
  =1/3πε0*(1,1,1)/3 (V/m)
  =12*109*(1,1,1)/3 (V/m)

原点より、(1,1,1)に向かう方向で、大きさは1/3πε0(または、12*109)(V/m)

成分なら、(1/33πε0,1/33πε0,1/33πε0)(V/m)
または、(6.92*109,6.92*109,6.92*109)(V/m)

  (0,0,1)の電荷による電位は、1/4πε0((1/2)2+(1/2)2+(−1/2)21/2
すべての電荷の寄与は等しいので、電位Φは、

Φ=3/4πε0((1/2)2+(1/2)2+(1/2)21/2
 =3/4πε0*2/3
 =3/2πε0 (V)
 =31.2*109 (V)

 

A 原点(0,0,0)(m)での電界と電位を求めよ。

(0,0,1)の電荷による電界は、1/4πε0*(0,0,−1)
他の点電荷による電界も同様に表してたせば、

=1/4πε0*(−1,−1,−1)
  =3/4πε0*(−1,−1,−1)/3
  =3/4πε0*(−1,−1,−1)/3 (V/m)
  =93*109*(−1,−1,−1)/3 (V/m)

原点より、(−1,−1,−1)に向かう方向で、大きさは3/4πε0(または、93*109)(V/m)

成分なら、(−1/4πε0,−1/4πε0,−1/4πε0)(V/m)
または、(−9*109,−9*109,−9*109)(V/m)

(0,0,1)の電荷による電位は、1/4πε0
すべての電荷の寄与は等しいので、電位Φは、

Φ=3/4πε0
 =3/4πε0 (V)
 =27*109 (V)

 


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