右の回路において、電流Iを求める。
@ ループ電流を設定して求める
A 鳳・テブナンの定理を利用して求める
B 回路(電源)を変換して求める
それぞれの方法について紹介する。
@ ループ電流を設定して求める
講義のポイントを参考にして、図のようにループ電流を設定すれば、I=IL2で与えられる。
キルヒホッフの電圧則より、
E−Z0(IL1+IL3)−Z1(IL1−IL2)−Z3IL1=0 @
Z1(IL1−IL2)−Z2(IL2+IL3)−ZIL2=0 A
E−Z0(IL1+IL3)−Z2(IL2+IL3)−Z4IL3=0 B
@〜Bより、
(Z0+Z1+Z3)IL1−Z1IL2+Z0IL3=E
−Z1IL1+(Z1+Z2+Z)IL2+Z2IL3=0
Z0IL1+Z2IL2+(Z0+Z2+Z4)IL3=E
係数を行列に見立てて、逆行列より、IL2を求めれば、
D=(Z0+Z1+Z3)(Z1+Z2+Z)(Z0+Z2+Z4)
−2Z0Z1Z2−Z22(Z0+Z1+Z3)
−Z12(Z0+Z2+Z4)
−Z02(Z1+Z2+Z)
=Z(Z1Z2+Z2Z3+Z3Z4+Z4Z1)
+ZZ0(Z1+Z2+Z3+Z4)
+Z0(Z1Z3+Z2Z3+Z2Z4+Z1Z4)
+Z3Z2(Z1+Z4)+Z4Z1(Z2+Z3)
=Z(Z1+Z3)(Z2+Z4)
+ZZ0(Z1+Z2+Z3+Z4)
+Z0(Z1+Z2)(Z3+Z4)
+Z3Z2(Z1+Z4)+Z4Z1(Z2+Z3)
=Z((Z1+Z3)(Z2+Z4)
+Z0(Z1+Z2+Z3+Z4))
+Z0(Z1+Z2)(Z3+Z4)
+Z1Z2(Z3+Z4)+Z3Z4(Z1+Z2)
として、
I=IL2=E/D*(Z1(Z0+Z2+Z4)+Z0Z2
−((Z0+Z1+Z3)Z2+Z0Z1))
=E(Z1Z4−Z2Z3)/D
A 鳳・テブナンの定理を利用して求める
右は、先の回路で、インピーダンスZを取り除いた回路である。
インピーダンスZを除いた端子をabとする。
ab間の電圧Va−Vbを求める。
I'=E/(Z0+(Z1+Z3)(Z2+Z4) /(Z1+Z2+Z3+Z4))
Va=I'Z4(Z1+Z3)
/(Z1+Z2+Z3+Z4)
=EZ4(Z1+Z3)/(Z0(Z1+Z2+Z3+Z4)
+(Z1+Z3)(Z2+Z4))
Vb=I'Z3(Z2+Z4)
/(Z1+Z2+Z3+Z4)
=EZ3(Z2+Z4)/(Z0(Z1+Z2+Z3+Z4)
+(Z1+Z3)(Z2+Z4))
Va−Vb=E(Z1Z4−Z3Z2)/(Z0(Z1+Z2+Z3+Z4)
+(Z1+Z3)(Z2+Z4))
電圧源は、インピーダンスが0であるから、abからみるとインピーダンスは、
右の図のような回路で構成される。
abから見たインピーダンスを求めるために、Z0、Z3、Z4をY結線に見立てて、
Δ結線に変換する。
Za、Zb、Zcはそれぞれ、次のように与えられる。
Za=(Z0Z3+Z3Z4+Z4Z0)/Z3
Zb=(Z0Z3+Z3Z4+Z4Z0)/Z4
Zc=(Z0Z3+Z3Z4+Z4Z0)/Z0
右のような回路であるから、合成インピーダンスZtは、
Zt=1/(1/(Z2Za/(Z2+Za)+Z1Zb/(Z1+Zb))+1/Zc)
=((Z1+Z2)Z0+(Z1+Z2)Z3Z4+Z1Z2(Z3+Z4))
/((Z1+Z2+Z3+Z4)Z0
+(Z1+Z3)(Z2+Z4)
I=(Va−Vb)/(Zt+Z)
=E(Z1Z4−Z3Z2)/(Z0(Z1+Z2+Z3+Z4)
+(Z1+Z3)(Z2+Z4))(Zt+Z)
=E(Z1Z4−Z3Z2)
/(Z0(Z1+Z2+Z3+Z4)
+(Z1+Z3)(Z2+Z4))Zt
+(Z0(Z1+Z2+Z3+Z4)
+(Z1+Z3)(Z2+Z4))Z)
I=E(Z1Z4−Z3Z2)
/((Z1+Z2)(Z3+Z4)Z0
+(Z1+Z2)Z3Z4+Z1Z2(Z3+Z4)
+(Z0(Z1+Z2+Z3+Z4)
+(Z1+Z3)(Z2+Z4))Z)
B 回路(電源)を変換して求める
右は、先の回路で、電圧源とZ0の直列インピーダンスを電流源と並列インピーダンスに変換した回路である。
この回路において、Iを求めてもよい。
電流源の電流は、E/Z0となる。
Z、Z2、Z4をY型接続であるとみなして、これをΔ型接続に変換すれば、Iは、右のように与えられる。
ここで、
Y1=1/Z1、Y2=1/Z2、Y3=1/Z3、Y4=1/Z4、
Y0=1/Z0、Y=1/Zと表せば、
Yd=1/Zd=YY2/(Y+Y2+Y4)
Ye=1/Ze=YY4/(Y+Y2+Y4)
Yf=1/Zf=Y4Y2/(Y+Y2+Y4)
である。
Iは、Zdに流れる電流とZeに流れる電流の差で与えられる。
I=EY0(Yd/(Y1+Yd)−Ye/(Y3+Ye))
*(1/(1/(Y1+Yd)+1/(Y3+Ye))/(Y0+Yf
+1/(1/(Y1+Yd)+1/(Y3+Ye)))
=EY0(Yd(Y3+Ye)−Ye(Y1+Yd))/(Y1+Yd)(Y3+Ye)
((Y0+Yf)(1/(Y1+Yd)+1/(Y3+Ye))+1)
=EY0(YdY3−YeY1)/
((Y0+Yf)((Y1+Yd)+(Y3+Ye))+(Y1+Yd)(Y3+Ye))
=EY0(YdY3−YeY1)/
(Y3Y0+YeY0+Y3Yf+YeYf
+Y0Y1+YfY1+Y0Yd+YfYd
+Y1Y3+YdY3+Y1Ye+YdYe)
=EY0(YdY3−YeY1)/
(Y3Y0+Y0Y1+Y1Y3
+YeY0+Y3Yf+YeYf
+YfY1+Y0Yd+YfYd
+YdY3+Y1Ye+YdYe)
=EY0(YdY3−YeY1)/
(Y3Y0+Y0Y1+Y1Y3
+Ye(Y0+Y1)+Yf(Y1+Y3)+Yd(Y3+Y0)
+YY4Y2/(Y+Y2+Y4))
=EY0(YY2Y3−YY4Y1)/
((Y3Y0+Y0Y1+Y1Y3)(Y+Y2+Y4)
+YY4(Y0+Y1)+Y4Y2(Y1+Y3)+YY2(Y3+Y0)
+YY4Y2)
=EYY0(Y2Y3−Y4Y1)/
((Y3Y0+Y0Y1+Y1Y3)(Y+Y2+Y4)
+YY4(Y0+Y1)+Y4Y2(Y1+Y3)+YY2(Y3+Y0)
+YY4Y2)
=E(Z4Z1−Z2Z3)/
((Z0+Z1+Z3)(ZZ2+ZZ4+Z4Z2)
+Z2Z3(Z0+Z1)+ZZ0(Z1+Z3)+Z1Z4(Z3+Z0)
+Z0Z1Z3)
=E(Z4Z1−Z2Z3)/
(ZZ0(Z1+Z2+Z3+Z4)+Z(Z1+Z3)(Z2+Z4)
+Z0(Z1Z3+Z2Z3+Z2Z4+Z1Z4)+
+Z1Z2Z3+Z2Z3Z4+Z3Z4Z1+Z4Z1Z2)
I=E(Z4Z1−Z2Z3)/
(ZZ0(Z1+Z2+Z3+Z4)+Z(Z1+Z3)(Z2+Z4)
+Z0(Z1+Z2)(Z3+Z4)+
+Z1Z2Z3+Z2Z3Z4+Z3Z4Z1+Z4Z1Z2)