このページは、 Thursday, 11-Mar-1999 13:33:28 JSTに更新されました。
このページは、’後藤 英雄@電気電子システム工学科 中部大学’が作成しています。
質問、連絡は、後藤@電気電子システム工学科へお願いします。

電気磁気学I (1997年度 後期 追試験、再試験) 答の解説コーナー

 I 半径 R(m)の接地していない導体球が、比誘電率εrの均質な媒質中にある。導体球は帯電して いないとして、以下の問いに答えよ。

@ 導体球の中心より、r(m)(r>R)の位置にQ(c)の点電荷を置いた。導体球に現 れる現象について説明せよ。

Q(C)の点電荷の作る電界は、導体球表面で導体球に対して垂直ではない。そこで、導体内の電荷は、 電界が導体表面に対して垂直で導体内で0になるように移動する。
全電荷(点電荷と導体球に誘起される電荷)による電界が導体球表面で垂直になるように’導体球表面に’電荷が分布する。

表面の電荷分布は、非接地の帯電していない導体球における影像電荷を参考にして、導体球中心から点電荷へ至る線と 導体球中心から表面上の点へ至る線のなす角をθとして、
σ(θ)=Q/4πrR−Q/4π(r2+R2−2Rrcosθ)3/2*(r2−R2)/R

A @において、点電荷に働く力を求めよ。

@のように導体球表面に分布した電荷が作る電界は、帯電していない非接地の導体球であるので、
導体球の中心に ’QR/r(c)’ の点電荷と、導体球の中心より点電荷に向かって’R2/r(m)’の位置に ’−QR/r(c)’ の点電荷をおいたときに作る電界分布と等しい。よって、導体球表面の電荷分布をこの二つの点電荷に置き換えれば、 点電荷の位置における電界は点電荷と導体球の中心を結ぶ方向になる。 導体球に向かう方向を正の方向として、電界の大きさEは、比誘電率がεrであることを考慮して、
 E=−1/4πε0εr2*QR/r +1/4πε0εr(r−R2/r)2*QR/r
  =QR/4πε0εr3*(1/(1−(R/r)22−1)
故に力Fは、点電荷から導体球に向かう方向に
 F=Q2R/4πε0εr3*(1/(1−(R/r)22−1)(N)

B @において、導体球の電位を求めよ。

Aと同様に、導体球表面の電荷分布を点電荷に置き換えて考えれば、’R2/r(m)’の位置にある ’−QR/r(c)’の 点電荷は、Q(c)の点電荷と合成して、導体球は’0’電位になる。よって、残りの導体球中心にあるQR/r(c)の点電荷の電位を考慮すればよい。 距離Rにおける電位が導体球の電位であるから、電位φは、比誘電率がεrであることを考慮して、
 φ=1/4πε0εrR*QR/r=Q/4πε0εrr(V)

 II 内側円筒の外径が R1(m)、外側円筒の内径が R2(m)で同軸状に導体円筒がある。二つの円筒 の間には、比誘電率εrの媒質が満たされている。以下の問いに答えよ。

@ 内側円筒に単位面積当たりσ(c/m2)(σ>0)の電荷を与えた。円筒の中心からの距離r(m)における電界を求めグラフで表せ。

半径r、長さLの円筒閉曲面でガウスの定理を使えば、
  2πrLE=0 (r<R1) → E=0(V/m) (r<R1
  2πrLE=2πR1Lσ/ε0 (r>R1) → E=R1σ/ε0r (V/m) (r>R1

A 外側円筒と内側円筒の間の電位差を求めよ。

電位差をV(V)とすれば、V=∫−Edr(r;R2→R1
 V=R1σ/ε0*log(R2/R1
B 外側円筒と内側円筒を電極としたとき、単位長さ当たりの静電容量を求めよ。

Aで求めた電位差において、円筒を長さL(m)で切り出したとき電荷量は2πR1Lσ(C)であるから単位長さ当たりの静電容量Cは、 C=2πR1Lσ/V/L=2πε0/log(R2/R1)(F/m)

 III 真空中に設定したxyz座標によって、以下のように点電荷が与えられるとき、原点における電界と 電位を求めよ。(電界は、’大きさと方向に分け’ても’成分で表し’てもどちらでもよい。) (π、ε0はそのまま用いてよい。平方根も簡単な表現に変形するだけでよい。もちろん数値を求めても よい。)

@ ( 1, 1, 0)(m)に 1(c)   (−1,−1, 0)(m)に−1(c)

複数の点電荷による電界電位の表現を参考にして足せばよい。
電界 =1/4πε02(−1,−1,0)/21/2*2=1/4πε0(−1,−1,0)/21/2
大きさ1/4πε0(または、9*10)(V/m)で(−1,−1,0)の方向
(−22/8πε0,−22/8πε0,0)(または (−9/21/2*10,−9/21/2*10,0))(V/m)
電位は’0’

A ( 1, 1, 1)(m)に 1(c)   (−1,−1, 1)(m)に 1(c)   ( 1,−1,−1)(m)に 1(c)   (−1, 1,−1)(m)に 1(c)

@と同様にして、合成すれば、電界は(V/m)
電位は、1/4πε01/2*4=31/2/3πε0 (V) (または、12*31/2*10)(V)

これ以降はありません

問題と解答(例)のコーナーへ戻る

電気磁気学I(IA,IB)へ戻る