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電気磁気学I (1998年度 後期 追試験、再試験) 答の解説コーナー

 I 比誘電率1の媒質中に平面導体がある。この平面導体の表面よりH(m)の位置にQ(C)の点電荷を持ってきた。以下の問いに答えよ。 ただし、平面導体の面積は、Hに対して充分に広いと見なせるとする。

@ 導体表面に誘起される電荷を求めよ。(座標は適当に設定せよ。)

 この場合には、点電荷から導体平面におろした垂線の足に対して、対称な位置に−Q(C)の点電荷(影像電荷)を考えれば良い。 (C)の点電荷Qに対しては、導体平面に誘起された電荷も'この影像電荷'も同じ効果を与える。Q(C)の点電荷と−Q(C)の影像電荷によって作られる電界が、 導体表面において、導体のすぐ外で電界が導体平面に対して垂直、導体平面内側で'O'になることを考慮すれば、電気影像法での説明を参考に、Q(C)の点電荷から導体平面に下ろした垂線の足からr(m)の距離の点の面電荷密度はσ(r)は次のように与えられる。
  σ(r)=−Q/2πε0(r2+H2)*h/(r2+H21/2 (C/m2)

A 点電荷の受ける力を求めよ。

電気影像法での説明で述べたように、Q(C)の点電荷の受ける力は、点電荷の位置に−Q(C)の影像電荷が及ぼす電界で決る。 この電界の方向は、点電荷と影像電荷を結ぶ方向で、電荷の符号が互いに反対であるから、力は導体平面に近づく方向に働く。 距離が2H(m)であるから力F(N)は互いに遠ざかる方向を正に取ると、
F=−Q2/4πε0(2H)2=−Q2/16πε02
 点電荷Qに働く力は、大きさ Q2/16πε02(N) で、平面導体に近づく方向である。

B 全体が比誘電率εrの媒質で満たされたとき、導体表面に誘起される電荷の分布と点電荷の受ける力はどの様に変化するか。

 比誘電率εrの媒質で満たされたとき、電界はεrに反比例し、電束密度は変化しない。
 点電荷の受ける力は、(電界に比例するので、)1/εrになる。よって、
   Q2/16πε0εr2(N) で、導体平面に近づく方向
 導体平面に誘起される電荷は、 (導体平面表面での電束密度で与えられるので、)変化しない

  II 面積S(m2)の導体平板1,2が間隔d(m)で並行にある。(S≫d2) 以下に答えよ。

@ 導体平板1,2にそれぞれσ1(C/m2),σ2(C/m2)の電荷を与えた。導体平板1,2の中心を原点として導体平板1に垂直に向かう方向にz軸を選んで、任意の位置における電界の方向と大きさを求めよ。 ただし、σ1>σ2≧0とする。

 電界は、すべての電荷の作る電界を合成すればよいので、導体平板1、2で別々に考える。一枚の帯電した導体平板から作られる電界は、平板に垂直で、 平板の両側に等しく作られる。
 ガウスの定理又は、電界の計算例を参考にすれば、電界は、帯電平板からの距離には関係なく大きさσ/2ε0で、平板から垂直に外に向かう方向となる。(σ<0なら平板に向かう方向) ここで、σは、帯電平板の面電荷密度である。
 いま、帯電平板1はz軸上のd/2の位置に、帯電平板2はz軸上の-d/2の位置にあるので、それぞれの平板による電界を合成すれば、電界Eの方向をz軸の正の方向に選んで、
 z<-d/2    のとき −(σ1+σ2)/2ε0
 -d/2<z<d/2 のとき (−σ1+σ2)/2ε0
 d/2<z    のとき (σ1+σ2)/2ε0

A @において、導体平板1,2の電位差を求めよ。

 導体平板2に対する導体平板の電位は、−∫Edz(z;-d/2→d/2)=(σ1−σ2)d/2ε0 (V)

B @において、z軸方向の電界をzの関数としてグラフで表せ。

右に示す

C 導体平板1,2をキャパシタと見なしたとき、静電容量を求めよ。

 並行平板の静電容量であるから、面積 S(m2)、間隔d(m)、誘電率ε0に対しては、 静電容量は、ε0S/d(F)

  III 真空中の点(1,1,0)(m)に1(C)の電荷、点(−1,−1,0)(m)に1(C)の電荷がある。以下の問いに答えよ。

@ 原点における電界、電位、電束密度、単位体積当たりの静電エネルギーを求めよ。

 点電荷による原点での電界、電位φ、電束密度は、
(1,1,0)(m)の1(C)の電荷に対して、
 電界=(−1/4πε03/2,−1/4πε03/2,0)(V/m)
 電位=1/4πε01/2(V)
 電束密度=(−1/4π23/2,−1/4π23/2,0)(C/m2)

(−1,−1,0)(m)の1(C)の電荷に対して、
 電界=(1/4πε03/2,1/4πε03/2,0)(V/m)
 電位=1/4πε01/2(V)
 電束密度=(1/4π23/2,1/4π23/2,0)(C/m2)

 両方の電界、電位、電束密度を合成して、
  電界   : 0(V/m)
  電位   : 1/4πε0・21/2(V)≒1.3×1010(V)
  電束密度 : 0(C/m2)
  静電エネルギー密度 : /2=0(J/m3)

A 点(−1,1,0)(m)における電界、電位、電束密度を求めよ。

 点電荷による(−1,1,0)での電界、電位φ、電束密度は、
(1,1,0)(m)の1(C)の電荷に対して、
 電界=(−1/4πε04,0,0)(V/m)
 電位=1/4πε02(V)
 電束密度=(−1/4π4,0,0)(C/m2)

(−1,−1,0)(m)の1(C)の電荷に対して、
 電界=(0,1/4πε04,0)(V/m)
 電位=1/4πε02(V)
 電束密度=(0,1/4π4,0)(C/m2)

 両方の電界、電位、電束密度を合成して、
  電界   : (−1/16πε0,1/16πε0,0)(V/m)=(−9/4×109,9/4×109,0)(V/m)
  電位   : 1/4πε0(V)≒9×109(V)
  電束密度 : (−1/16π,1/16π,0)(C/m2)
  静電エネルギー密度 : /2=1/512π2ε0(J/m3)

B @において全体を比誘電率 2 の媒質で満たした。原点における電界、電位、電束密度、単位体積当たりの静電エネルギーはどのように変化するか。

 電界と電位が1/2になるので、
  電界   : 0(V/m)
  電位   : 1/4πε02・21/2(V)≒6.5×109(V)
  電束密度 : 0(C/m2)
  静電エネルギー密度 : /2=0(J/m3)

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