位置r(=(x,y,z))を変数にする関数で各成分が表されるベクトルF (=(Fx(r),Fy(r),Fz(r))を考える。
∇を偏微分の微分演算のベクトルと見なして、Fと外積として成分を計算したベクトルを∇×F (rotF、curlF(’回転’の意味))で表し、このベクトル量を’ローテーションF’という。外積の定義からxyz座標系においては、
∇×F=(∂Fz/∂y−∂Fy/∂z)ex +(∂Fx/∂z−∂Fz/∂x)ey +(∂Fy/∂x−∂Fx/∂y)ez
と表される。他の座標系では∇の表現が異なるので、異なる表現になる。
rotFの意味について考える。
空間で、ある軸を中心にして回転している質点がある。この軸の回転に従って右ねじを回したときにねじの進む方向(eω)を持ち、
この軸の回転の角速度ωを大きさに持つベクトルωを用いれば、この質点の速度υは、回転軸上に原点をとった質点の位置ベクトルrによって、
位置rの関数υ(r)として与えられる。
υ(r)=ω×r
(回転軸から質点までの距離は|r|sinθであるので|υ|=ω|r|sinθ、方向は、
ωからrへ右ねじを回した方向(ω×rの方向) よって、υは外積ω×rそのものである。)
ここで、∇×υを計算してみる。ベクトル演算の関係式を参考にして、
∇×υ=∇×(ω×r)=2ω
と計算され、演算’rotation’は、ある状態(ここでは、運動υ)における回転の程度を
’右ねじの方向に選んだ回転軸とその回転の角速度の2倍’(2ω)で与えることがわかる。
ベクトルυを空間に広がるベクトルと見なして、ω軸の回りで連続的に表現すれば、ωを中心にして渦を巻いたベクトルになっている
ことがわかる。
すなわち、∇×υは、空間に与えられたベクトルで表現される量υの回転(渦巻き)の程度を表すともいえる。