右の図において、ベクトル
ただし、A、Bとも始点はOにあるとする。
このとき、次のような成分で表されるベクトルを
このベクトルは、単位ベクトル
と表現され、3×3の行列の行列式の計算を記号的に用いれば、次のようにも表される。
上の成分の計算式を参考にして B×A を求める。
=(ByAz−AyBz,
=−(AyBz−ByAz,
=−A×B
よって、B×A=−A×B (交換すると符号が変わる。)
C=(Cx,Cy,Cz)とし、(A+C)×Bを計算する。
=(AyBz−ByAz)ex
=A×B±C×B
A±C=(Ax±Cx,Ay±Cy,Az±Cz)より、
先の計算のベクトル表現を参考にして、
=((Ay±Cy)Bz−By(Az±Cz))ex
よって、
上で、B=aA、C=0 とおいて、A×(aA)を計算すると、
(aA)×A=aA×A=0 となる。
平行なベクトルの外積は0である。(一方のベクトルを他方のベクトルに対して平行な成分と垂直な成分に分解して、分配則も用いれば、 任意の二つのベクトルの外積は、二つのベクトルの互いに直交する成分のみで決まることが分かる。)
=((Ax2+Ay2+Az2)
=(AxBy)2+(AxBz)2
=(AxBy)2+(AyBx)2 =(AxBy−AyBx)2
(|A||B|sinθ)2=|A×B|2
0≦θ≦π とすれば、
|A||B|sinθ=|A×B|
ここで、|A||B|sinθは、AとBを二辺とする平行四辺形の面積に相当するので、
外積 A×B の大きさは、ベクトルAとBを二辺とする平行四辺形の面積を表すことが分かる。
=(AyBz−ByAz)Ax
=Bz(AyAx−AxAy)
(A×B)・A=0 同様にして、
外積A×Bは、A,Bを位置ベクトルと見立てたとき、大きさが辺A、Bからなる平行四辺形の面積、 方向がA、Bの作る平面に垂直で、AからBへ右ねじを回して進む方向のベクトルを表す。 (A、Bを用いた成分は、先に表した。)
平面において単位ベクトルexとeyに垂直な方向は、面の表側と面の裏側に対応して二つの方向がある。
このどちらかの方向に第三軸を選べば、空間を表す座標に対する単位ベクトルの組ができる。平面に座標を表すベクトルを設定したときに
第一の座標を表すベクトルをex、第二の座標を表すベクトルをeyと仮におけば、
exからeyへ右ねじを回したとき進む方向(外積ex×eyの与える方向)
で面の表裏は一意に決定される。面の表側を外積の与える方向とし、この方向に座標の第三軸(例えば、ez)を割り当てる座標系を右手系という。(こうなるように外積を定義した。)
実際計算してみてもex×ey=ezになっていることが確認される。
(上で、(1,0,0)と(0,1,0)の外積を計算すればよい。ノートにx軸とy軸を描くとノートの表面から自分の方に、z軸が伸びている。)
図より簡単に、ey×ez=ex、
ez×ex=eyになっていることが分かる。
(x,y,zに関して循環している)実際計算しても容易に確認される。
他の座標表現においても右手系になっている。
例えば、円柱座標では、er×eφ=ez
極座標では、 er×eθ=eφ
V=(A×B)・C=(B×C)・A=(C×A)・B
が一つの組になる。
A、B、C が右手系の関係になっていれば、上の体積は正。左手系の関係になっていれば、上の体積は負になる。
A,B,Cを辺とする平行六面体の体積は、(A×B)・Cであらわされ、この値の正負は、 A,B,Cベクトル相互の方位関係(右手系になっているか?左手系になっているか?を表す。 もし負になっていれば、B,A,Cが右手系になっていることを示す。
一般に座標は、右手系になるように選ぶので、座標軸を表すベクトルで、このような計算を行えば(直交座標系なら大きさは1で)正の値になっているはずである。 (第一軸×第二軸の外積により第三軸を決めるのであるから当然である。)
A0→A、B0→Bの変換行列を求める。
変換行列は次のように表される。
lx2+ly2+lz2=1である。この行列の成分には、次の関係がある。
これより、lx、ly、lz、ξ、ζ、とA、Bの成分の関係は、次のようになる。
これらの式より、lx、ly、lz、ζ、ξを求めることができる。
こうして得られた回転変換により、A、Bより、A0、B0を得て、A0×B0(=C0)を求めれば、A0,B0、C0の関係は、A、B、Cの関係と等しい。そこで、C0のA0、B0との関係について考える。
成分で考えれば、外積の定義より、
C0=(−|A||B|sinζ,0,0)
このベクトルは、もし、|B|sinζ(B0のy成分)が正ならx軸の負の方向を向き、|B|sinζが負ならx軸の正の方向を向くことが分かる。
この結果より、外積の方向は、A0からB0に右ねじを(鋭角に)回したときに右ねじの進む方向と一致することが分かる。
A、B、A×Bにも同様の関係があることから、一般に外積A×Bの方向は、
A,Bにより作られる面に垂直でAからBへ右ねじを右に回したときにねじの進む方向
(始点に立って、Aを左手にBを右手に掴んだとき体の向いている方向)であるといえる。