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'00 11/08 レポート 略解(解説)


T 点1(位置ベクトル1)に1〔C〕、 点2(位置ベクトル2)に2〔C〕、 点3(位置ベクトル3)に3〔C〕の点電荷がある。以下の問いに答えよ。

@ 点(=(x,y,z))の電界を表せ。
A 1=(4,0,0)〔m〕、2=(0,4,0)〔m〕、 3=(4,4,0)〔m〕、1=Q2−Q31×10-8〔C〕とする。
 次の各点における電界を求めよ。(単位は〔m〕) (0,0,0)、(±1,0,0)、(0,±1,0)、(±2,0,0)、(0,±2,0)、 (±1,±1,0)、(±2,±2,0)、(±3,0,0)、(0,±3,0)、(±3,±3,0)、 (±2,±1,0)、(±1,±2,0)
B Aで得た電界を図示せよ。
C Aで電気力線を描け。

解答例
@ 点電荷1〜3の作る電界を足せばよい。
  =Q)/4πε0 +Q)/4πε0 +Q)/4πε0 〔N/C〕
A @を参考にする。1/4πε0=9×10〔F/m〕であることを考慮して、
=Q(x−4,y,z)/4πε0((x−4)+y+z3/2 +Q(x,y−4,z)/4πε0(x+(y−4)+z3/2 +Q(x−4,y−4,z)/4πε0((x−4)+(y−4)+z3/2
  =90(x−4,y,z)/((x−4)+y+z3/2 +90(x,y−4,z)/(x+(y−4)+z3/2 −90(x−4,y−4,z)/((x−4)+(y−4)+z3/2 〔N/C〕

 与えられた点に対する電界は成分で次の表のようになる。(ただし、電界の単位は〔N/C〕で、z軸成分はすべての点で’0’であるから表では省略した。値を求める手続きは上の式に座標を代入するだけの単純な繰り返し計算であるので、表計算ソフトなどを利用すると簡単に値は求まる。
点(x,y,z)x成分 y成分点(x,y,z)x成分 y成分
(1,0,0)−6.6 −2.3(−1,0,0)−3.2 −3.8
(0,1,0)−2.3 −6.6(0,−1,0)−3.8 −3.2
(1,1,0)−2.2 −2.2(1,−1,0)−6.5 −4.0
(−1,1,0)−4.0 −6.5(−1,−1,0)−2.8 −2.8
(2,0,0)−18.5 0(−2,0,0)−3.1 −3.1
(0,2,0) −18.5(0,−2,0)−3.1 −3.1
(2,2,0)8.0 8.0(2,−2,0)−6.5 −8.0
(−2,2,0)−8.0 −6.5(−2,−2,0)−2.0 −2.0
(3,0,0)−86.6 2.3(−3,0,0)−2.8 −2.2
(0,3,0)2.3 −86.6(0,−3,0)−2.2 −2.8
(3,3,0)37.5 37.5(3,−3,0)−2.0 −8.2
(−3,3,0)−8.2 −2.0(−3,−3,0)−1.4 −1.4
(2,1,0)−8.5 8.0(2,−1,0)−13.8 −8.0
(−2,1,0)−4.6 −4.5(−2,−1,0)−2.4 −2.3
(1,2,0)8.0 −8.5(1,−2,0)−4.5 −4.6
(−1,2,0)−8.0 −13.8(−1,−2,0)−2.3 −2.4
(0,0,0)−3.6 −3.6

B 上の表の電界を右図(赤色)に示す。

C 電気力線も右図(黒色)に示す。電界が接線になるようになめらかに線を引く。ただし、方向は正電荷では出て、負電荷では入っていく方向。


U 半径a〔m〕の球状に均一に密度ρ〔C/m3で電荷が分布している。以下の問いに答えよ。

@ 任意の点において、電界はどちらを向いているか。
A 座標を適当に設定して、任意の点における電界を求めよ。
B Aで求めた電界に対して、ガウスの定理の微分形が成り立つことを確認せよ。

解答例
@ 要点を参考にする。電界は電界を知りたい点と、球の中心を結ぶ方向にある。
A 要点を参考にする。(−ガウスの定理を使うなら−−電荷分布を積分するなら−)
 電荷の分布する球の中心を原点とし、電界を知りたい点の座標を(x,y,z)とする。球の中心との距離は、(x+y+z1/2で与えられる。方向は、(x,y,z)であるから、

 =ρ/3ε0(x,y,z)〔N/C〕 ; ((x+y+z1/2a 点は球内)
 =ρa/3ε0(x+y+z3/2(x,y,z)〔N/C〕 ; ((x+y+z1/2a 点は球外)

B ガウスの定理の微分演算の式を参考にして、
 球内:
  ∇・=∂E/∂x+∂E/∂y+∂E/∂z=ρ/3ε0+ρ/3ε0+ρ/3ε0=ρ/ε0
  球内の電荷密度はρであるから∇・=ρ/ε0が成立している。
 球外:
  ∇・=ρa/3ε0(x+y+z3/2×3 −ρa(x+y+z)/3ε0(x+y+z5/2=0
  球外の電荷密度は0であるから
∇・=0/ε0が成立している。(ρ=0)


V 厚さt〔m〕の無限に広い板1,2が空隙d〔m〕で平行にある。 ただし、板1には均一に密度ρ1〔C/mの電荷が、 板2には均一に面密度ρ2〔C/mの電荷がある。 また、板2から板1に向かって垂直にz軸を設定し、z軸の原点は板2の中心にあるとする。ほかに必要な座標および座標軸は適当に設定して、以下の問いに答えよ。

@ 板1に分布する電荷による任意の点における電界の大きさと方向を求めよ。
A 板2に分布する電荷による任意の点における電界を求めよ。
B 板1,板2の両方に分布する電荷による任意の点における電界を求めよ。
C Bにおいて、ガウスの法則の微分形が成り立つことを確認せよ。
D Bにおいて、t=1〔mm〕、d=1〔mm〕、ρ1=ρ2=1×10-8〔C/mのとき、 z座標の関数として電界のz軸成分をグラフ化せよ。電気力線も描け。
E Bにおいて、t=1〔mm〕、d=1〔mm〕、ρ1=−ρ2=1×10-8〔C/mのとき、 z座標の関数として電界のz軸成分をグラフ化せよ。電気力線も描け。

解答例
@ 平板に均一に分布する電荷による電界は要点で扱った。電界は板に垂直で板からの距離の関数になる。 電界の、x、y成分は’0’であるから、成分だけ考えればよい。板1の厚さの中心より上方にの場所に板1の電荷が作る電界z1は、
  z1=ρ/ε0 〔N/C〕  (zt/2)
      ρt/2ε0*z/|z| 〔N/C〕  (|zt/2)

A 同様に、板2の厚さの中心より上方にの場所に板2の電荷が作る電界z2は、
  z2=ρ/ε0 〔N/C〕  (zt/2)
      ρt/2ε0*z/|z| 〔N/C〕  (|zt/2)

 板が一枚の時の電界(青色)と電気力線(橙色)を示す
ρ>0ρ<0

B 電界はすべての電荷による電界を加えれば得られることから、板1,2それぞれの電荷による電界を求めて合成すればよい。 電界は、二つに分けた電荷分布それぞれによる電界z1z2を合成すればよいので、 をzに置き換えて、
  =Ez1+Ez2
    =ρt/2ε0+ρt/2ε0 〔N/C〕  (z3t/2+d)
     ρ(z−d−t)/ε0+ρt/2ε0 〔N/C〕  (3t/2+dt/2+d)
     −ρt/2ε0+ρt/2ε0 〔N/C〕  (t/2+dt/2)
     ρz/ε0−ρt/2ε0 〔N/C〕  (t/2−t/2)
     −ρt/2ε0−ρt/2ε0 〔N/C〕  (−t/2z)

C Bで、領域、3t/2+d、t/2+dt/2、−t/2では、
電界が一定なので、∇・は(微分すれば)、’0’になる。またこの領域は、電荷密度が’0’である。よって、∇・=ρ/ε0が成立している。(ρ=0)
 領域、3t/2+dt/2+dでは、
   =ρ(z−d−t)/ε0+ρt/2ε0であるから、zで微分して、
∇・=∂/∂z(ρ(z−d−t)/ε0+ρt/2ε0=ρ/ε0
 領域、t/2−t/2では、
   =ρz/ε0−ρt/2ε0であるから、zで微分して、
∇・=∂/∂z(ρz/ε0−ρt/2ε0)=ρ/ε0
右辺は、電荷密度をε0で割った量になっていることが分かる。

DE 電界(青色)と電気力線(橙色)を示す
ρ1=ρ2=1×10-8〔C/m ρ1=−ρ2=1×10-8〔C/m


これでこの項目は終わり

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