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'97 12/5 レポート


I 内半径 R(m)、外半径 R+T(m) の球殻状に電荷密度 ρ(C/m3) で一様に電荷が分布している。以下の問いに答えよ。
@ 任意の点において、電界はどちらを向いているか?
A @を参考にして適当に座標を設定して、任意の点における電界を(ベクトルとして)求めよ。
B 無限遠を基準として電位を求めよ。
C Aの電界とBの電位の分布をグラフにより表現せよ。
D Aにおいて、ρT=σ(一定)として、T→0にしたとき、電界及び、電位の分布はどのようになるか? 
E Dの電界及び電位をグラフで表せ。

解答例
@ 分布する電荷を細かく空間的に刻んで、刻んだそれぞれの空間に存在する電荷を点電荷と見なせば、電界はそれぞれの点電荷の作る電界の合成で与えられる。 いま、細かく刻んだ球殻中のある電荷に注目すれば、その電荷に対して’球殻の中心と電界を求めたい点を結んだ’軸に対照な点の電荷を考えると、 この二つの電荷による合成電界の方向は、’球殻の中心と電界を求めたい点を結んだ軸’に平行になる。 球殻中のすべての電荷に対してこのような電荷のペアを考えることができることを考慮すれば、球殻中のすべての電荷による電界の方向は、 ’球殻の中心と電界を求めたい点を結んだ方向’になることが分かる。
ガウスの定理を利用した電界の計算 球状に閉曲面を選ぶ。’を参考にしてもよい。

A講義のポイントの’電界の計算 2’の項で既に求めたので、参考にする。 ベクトルとしての表現は、電界の方向が球殻の中心と電界を求めたい点を結んだ方向’であることを考慮して、 球殻の中心から電界を求めたい点へ至るベクトルの大きさをH、単位ベクトルをHとすれば、
 (H<R)
=ρ(H3-R3)/3ε02H (R<H<R+T)
=ρ((R+T)3-R3)/3ε02H (R+T<H)
または、球殻の中心を原点にした座標系によって、電界を知りたい点の座標が(Hx、Hy、Hz)(=)で表されれば、
上の電界の表現において、H=||=(Hx2+Hy2+Hz21/2 H/H=(Hx、Hy、Hz)/(Hx2+Hy2+Hz21/2で置き換えれば、成分としての表現になる。

B電界より求めるなら、’電位の計算 2(電界を積分する)’を参考にする。
 電荷分布から直接電位を求めるなら、’電荷が連続的に分布しているときの電位の計算例 体積積分’を参考にする。

C略したグラフは、’電荷が連続的に分布しているときの電位の計算例 体積積分’に表してある。

DT→0なので R<H<R+Tの領域が無くなる。上の電界の式で、ρT=σを考慮して変形すれば、
H<Rの領域では、 =0(H<R)
R<Hの領域では、
=ρ((R+T)3-R3)/3ε02H
  =ρ(R3+3R2T+3RT2+T3-R3)/3ε02H
  =(R2σ+σRT+σT2/3)/ε02H
  =R2σ/ε02H (T→0なので、)

電位も同様にして、
φ=Rσ/ε0 (H<R)
φ=R2σ/ε0H (R<H)

E略したグラフは、’電荷が連続的に分布しているときの電位の計算例 面積分’に表してある。


II 半径 R1(m) の無限長の円筒表面に面電荷密度 σ1(C/m2)で一様に電荷が分布している。以下の問いに答えよ。
@ 任意の点において、電界はどちらを向いているか?
A @を参考にして適当に座標を設定して、任意の点における電界を(ベクトルとして)求めよ。
B 円筒の中心を基準として電位を求めよ。
C Aの電界およびBの電位の分布をグラフにより表現せよ。

解答例

@ 電界を知りたい点を含む円筒の中心軸に垂直な平面を考えると、この平面の両側で電荷分布は平面に対して対称であるから、電界の方向はこの平面内にある。 また、電界を知りたい点と円筒の中心軸を含む平面を考えると、この平面の両側で電荷分布は平面に対して対称であるから、電界の方向はこの平面内にある。 この二つの電界の方向の条件を同時に満たすのは、円筒の中心軸から外に向かう方向である。
A ガウスの定理を利用した電界の計算 円柱状(缶の形)に閉曲面を選ぶ。において、
ρT=σ1、T→0 とおけば、電界の大きさが得られる。円筒の中心軸より電界の知りたい点までの距離をr、 電界を知りたい点から円筒の中心軸に下ろした垂線の足から電界を知りたい点に至る位置ベクトルの単位ベクトルをrとすれば、
r<R1のとき 
1<rのとき =σ110r*r
円筒の中心軸をz軸にとり、xy座標を適当に定めれば、電界を知りたい点の座標を(x、y、z)として r=(x,y,0)/(x2+y21/2であるから、電界を成分で表せば、
r<R1のとき 
1<rのとき =σ110(x2+y2)*(x,y,0)
B 電位の計算 2(電界を積分する)において、ρT=σ1、T→0 とおけばよい。
r<R1のとき φ=0
1<rのとき φ=σ110*log(R1/r)
C 電界は右に赤線で、電位は右に青線で示す。


III 表面に面電荷密度 σ1(C/m2)で一様に電荷が分布する半径 R1(m)の無限長円筒と表面に面電荷密度 σ2(C/m2)で一様に電荷が分布する半径 R2(m)の無限長円筒が、同軸状に存在している。以下の問いに答えよ。
@ 任意の点において、電界はどちらを向いているか?
A @を参考にして適当に座標を設定して、任意の点における電界を(ベクトルとして)求めよ。
B 円筒の中心を基準として電位を求めよ。
C Aの電界およびBの電位の分布をグラフにより表現せよ。
D σ11=−σ22=λ/2π(C/m)のときAの電界及びBの電位はどの様に表されるか?
E Dにおいて電界と電位の分布をグラフにより表現せよ。

解答例
この問題は、電界や電位がすべての点電荷による重ね合わせであることを考えれば、二つの円柱のそれぞれについて、独立に電界及び電位を求めて重ねればよい。
@ 同軸状に2本の円柱があるので、電界は先に示した(Uの課題の)円柱が1本の場合の方向と同様になって、電界の方向は、同軸の中心軸から外に向かう方向
A Uの課題の答を参考にして、Uと同様に座標設定すれば、R1<R2として、円筒の中心軸より電界の知りたい点までの距離をr、 電界を知りたい点から円筒の中心軸に下ろした垂線の足から電界を知りたい点に至る位置ベクトルの単位ベクトルをrとすれば、
r<R1のとき    
1<r<R2のとき =σ110r*r
2<rのとき    =(σ11+σ22)/ε0r*r
円筒の中心軸をz軸にとり、xy座標を適当に定めれば、電界を知りたい点の座標を(x、y、z)として r=(x,y,0)/(x2+y21/2であるから、電界を成分で表せば、
r<R1のとき 
1<r<R2のとき =σ110(x2+y2)*(x,y,0)
2<rのとき    =(σ11+σ22)/(x2+y2)*(x,y,0)
B Aで求めた電界を積分しても求まるが、ここでは2つの円筒による電位の重ね合わせにより求める。
r<R1のとき    φ=0
1<r<R2のとき φ=σ110*log(R1/r)
2<rのとき    φ=σ110*log(R1/r) +σ220*log(R2/r)
C下にいくつかの場合について、電界を赤線で、電位を青線で示す。



D条件を代入して、
r<R1のとき    
1<r<R2のとき =λ/2πε0r*r
2<rのとき    =0
r<R1のとき    φ=0
1<r<R2のとき φ=λ/2πε0*log(R1/r)
2<rのとき    φ=λ/2πε0*log(R1/R2
E右に、λ>0の場合について、電界を赤線で、電位を青線で示す。


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